最近、映画を観ましたか? 話題作がそろうシネコン、便利な配信サービスもあるけれど、街に根づいた個性派ミニシアターがあるのも京急沿線の魅力です。それぞれの視点で選ばれた映画に心揺さぶられ、じんわりと余韻を味わいながら街の喫茶店でお茶をする……。
ミニシアターのある街には、そんななにげなくも幸せな時間が流れています。

<横浜>「映画の街」伊勢佐木町のルーツを受け継ぐ2つのミニシアター
横浜・伊勢佐木町は、かつて数十館もの映画館が立ち並び、「映画の街」と呼ばれていました。その歴史を今に受け継いでいるのが、黄金町駅からほど近い『シネマ・ジャック&ベティ』と、日ノ出町駅そばの『横浜シネマリン』です。
〜シネマ・ジャック&ベティ~
2つのスクリーンで年間300本以上を上映する、作品との出会いの場。1952年創業の『横浜名画座』の跡地に誕生した『シネマ・ジャック&ベティ』。その特徴は、2つのスクリーンで個性の違う作品を上映していることです。
「好みが違う二人で来ても、別々の映画を観て、終わったらロビーで落ち合う。そんな映画の楽しみ方を開館時から提案してきたんです」と支配人の梶原俊幸さん。洋画・邦画・アジア映画まで、多彩な作品を年間約300本上映。
「映画館にたまたま置いてあったチラシから思わぬ作品に出会うことがある。そういう偶然の面白さを届けることも、街の映画館の大切な役目だと思っています」(梶原さん)


スポット情報
シネマ・ジャック&ベティ
電話:045-243-9800
住所:横浜市中区若葉町3-51
アクセス:黄金町駅から徒歩約7分
HP:https://www.jackandbetty.net
〜横浜シネマリン~
ジャック&ベティから歩いて数分。1964年に開館した『イセザキシネマ』から名称を変更し、現在に至るのが『横浜シネマリン』です。製作予算の大小に関わらない、世界の良質な作品の紹介に力を入れています。
「社会の切実なテーマに命がけで向き合っている製作者がいます。思想や信条を押し付けるのではなく、『こういう映画もありますよ』と、一緒に考える場を提供する。それも映画館の役割だと思っています」と支配人の八幡温子さん。
一人の作家をフューチャーし、その作品を10本ほど上映する特集を組むことも。上映を待つ作品は次々と届き、
1つの作品が上映される期間は2週間ほど。「ためらっていると出会えなくなる作品があります。アンテナに響く何かを感じたら、思い切って映画館の階段を降りてきてください」(八幡さん)


スポット情報
横浜シネマリン
電話:045-341-3180
住所:横浜市中区長者町6-95
アクセス:日ノ出町駅から徒歩約8分
HP:https://cinemarine.co.jp
映画の前後に立ち寄りたいスポット
〜黄金町アートブックバザール
&gallery made in koganecho~
京急線の高架下にあるアート専門の古書店『黄金町アートブックバザール』。写真集や絵本、映画関連の書籍なども含めた古書や、ここでしか買えないアーティスト関連のグッズがたくさん並んでいます。
隣接する『gallery made in koganecho』では、黄金町界隈に滞在して作品を制作するアーティストの展示も観覧できます。


スポット情報
黄金町アートブックバザール&gallery made in koganecho
電話:045-231-9559
住所:横浜市中区日ノ出町2-145先 日ノ出スタジオⅠ&Ⅲ棟
アクセス:日ノ出町駅から徒歩約3分
インスタ:https://www.instagram.com/koganecho_artbookbazaar/
https://www.instagram.com/madeinkoganecho/

<大森>シネコンとミニシアター両方の魅力をあわせもつ街の映画館
いまやシネマコンプレックスは映画館の主流となりましたが、その日本初となる映画館が大森海岸にあります。その場所は、この地域に住む人たちの生活に密着した総合スーパーの5階です。
〜キネカ大森~
映画館の名前は『キネカ大森』。案内をしてくれたのは、同館の史上最年少の支配人である植村ほとりさんです。
「話題作のほか、名画座2本立て、そしてミニシアター系作品と3つのスクリーンを駆使して映画の楽しさを幅広くお届けしたい。受賞歴に関わらず、心に響いた作品を上映することも意識しています」。
インド映画の聖地としても知られ、観客が歌い、踊る参加型の上映イベントも人気です。
「大森は異国料理の店も多い街です。インド映画を観た後に本場のインド料理を食べる、なんて楽しみ方も当館ならではだと思います!」(植村さん)


スポット情報
キネカ大森
電話:03-3762-6000
住所:品川区南大井6-27-25 西友大森店5階
アクセス:大森海岸駅から徒歩約8分
HP:https://ttcg.jp/cineka_omori
暮らしと映画が近くにある大森海岸。お散歩気分でふらりと映画館に足を運ぶ、そんなこの街に流れるリラックスした時間が愛おしくなります。
映画の前後に立ち寄りたいスポット
〜洋食 入舟~
『洋食 入舟』は、大正13年創業の洋食店。看板メニュー『天使の海老 海老フライ』(1,700円)は、カリカリの衣とむっちり弾力のあるエビのコントラストが忘れがたい一品です。昭和映画の舞台になりそうな、当時の雰囲気を残す古民家の味わい深いムードも、合わせて堪能してみませんか?


スポット情報
洋食 入舟
電話:03-3761-5891
住所:品川区南大井3-18-5
アクセス:大森海岸駅から徒歩約6分
インスタ:https://www.instagram.com/irifune_omori/
映画の前後に立ち寄りたいスポット
〜珈琲亭 ルアン~
『珈琲亭 ルアン』は、大森の名所ともいえる純喫茶です。70年代の創業時から変わらないシャンデリア輝くクラシカルな店内で、多彩なコーヒーを味わうひとときにうっとり。人気の「ケーキセット」(1,000円〜)をお供に、映画談義に花が咲きそうです。


スポット情報
珈琲亭 ルアン
電話:03-3761-6077
住所:大田区大森北1-36-2
アクセス:大森海岸駅から徒歩約12分
〜シネマ ノヴェチェント~
最後に、この8月いっぱいで戸部の街を離れるミニシアターをご紹介します。藤棚商店街の裏道に、フィルム上映にこだわる28席の小さな映画館『シネマ ノヴェチェント』があります。
「後世にフィルム文化を伝えようなんて思いは0.1ミリもない。ただ小規模なインディーズ作品を扱う映画館は少ないから、うちはその最後の砦みたいなもの」と話すのは、支配人の箕輪克彦さん。
館内にはバーを併設し、舞台挨拶に来た監督と観客がお酒片手に語り合う交流も。しかし、戸部での上映は8月まで。10月末、町田に移転を予定しています。「映画館で観た作品は、その街の記憶と一緒に残るもの。離れるのは少し寂しいね」(箕輪さん)


スポット情報
シネマ ノヴェチェント
電話:045-548-8712
住所:横浜市西区中央2-1-8
アクセス:戸部駅から徒歩約11分
HP:https://cinema1900.wixsite.com/home
※移転についてはHPをご確認ください
それぞれの視点で選ばれた一本に出会いに、この夏はミニシアターのある街へ出かけてみませんか?
各ミニシアターの8月のおすすめ映画は、「なぎさ」本誌をご覧ください。