【平和島】いつもの海苔が、特別になる日。大森 海苔のふるさと館で体験する海苔つくり

塩おむすびに、パリッパリの海苔を巻いて大きな口でほおばる。
そんな瞬間、「ああ、日本人でよかったなぁ」と、しみじみ思います。

私たちの食卓に欠かせない海苔。
けれど、その海苔がどのように作られているのか、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。

その“当たり前”の向こう側をのぞきに、今回訪れたのは東京都大田区にある「大森 海苔のふるさと館」。
海とともに生きてきたこのまちで、海苔づくりの歴史と体験に触れてきました。

駅から博物館へ。おすすめはシェアサイクル

大森 海苔のふるさと館は、京急線「平和島」駅から徒歩約15分。歩いて行くこともできますが、今回おすすめしたいのがシェアサイクルです。

平和島駅前のシェアサイクルのポート

駅から徒歩圏内にシェアサイクルのポートが2か所あります。newcalにログインして「予約サービス」のページにある「シェアサイクル」から「docomoバイクシェア」を選ぶと、簡単に利用できます。

実は筆者、電動自転車は人生初。
ひと漕ぎ目から感じるアシスト力に驚きつつ、スイスイと快適に走っているうちに博物館に到着しました。

入口前にポートがあるので、返却もスムーズ

海苔のふるさと館で出会う、圧巻の風景

館内に入ってまず目を引くのが、1階に展示されている大田区に唯一残る海苔船「伊藤丸」。想像以上の大きさと存在感に、思わず足を止めてしまいます。

海苔船「伊藤丸」

この博物館では、大森がかつて日本有数の海苔産地だった歴史や、道具、工程を丁寧に紹介しているので、展示をひと通り見てから体験に参加すると、理解がぐっと深まります。

「初めての海苔つけ体験」に参加

今回参加したのは「初めての海苔つけ体験」です。2年前から申し込み続け、やっと今回参加できたという親子もいるほど、人気の高い体験プログラム。親子連れが多いものの、対象年齢以上であれば誰でも参加可能で、「子ども向け」というより、大人も本気で楽しめる内容です。

同じ作業を親子で体験し、「ここ難しかったね」と感想を共有できるのも、この体験ならではの魅力だと感じました。

体験は次のような流れで進みます。
 ①海苔のお話
 ②海苔切り実演
 ③水で海苔つけの練習
 ④海苔つけ
 ⑤海苔干し
 ⑥海苔焼き実演

クイズで学ぶ、海苔づくりの歴史

楽しいクイズが満載

最初は職員の方による海苔づくりのお話から。
クイズを交えながら、大田区の海苔づくりの歴史や、昔の仕事の様子を紹介してくれます。
「仕事は何時ごろから始まっていたでしょう?」
そんな問いかけに、子どもたちも真剣な表情。
説明がとても上手で、話を聞いているうちに、寒い海で作業する人々の姿が自然と頭に浮かんできます。
海苔づくりは秋から冬にかけて、朝早くから行われていたそう。
冷たい水の中での作業に、当時の苦労を思わず想像してしまいました。

昔ながらの海苔切り実演

鬼がもっていそうな大きな包丁

続いては海苔切りの実演。

海から収穫してきた海苔は、まだわかめのような形をしているため、次の工程である「海苔つけ」に備えて細かく刻みます。効率よく切るために、大きな二丁の包丁を使い、リズミカルに刻んでいきます。
時代とともに道具が改良されてきたことも紹介され、大人も子どもも、目を輝かせながら見入っていました。

やってみると難しい、海苔つけ

いよいよ体験のメイン、海苔つけへ。

まずは水だけで練習しますが、木枠に均等に流すのがとにかく難しい。職員さんは流れるような手さばきなのに、いざ自分がやると全くうまくいきません。

海苔が入るととろりとした感触
真剣な表情で海苔つけに挑む

本番では、刻んだ海苔が入ったとろりとした液体を升ですくい、一瞬で木枠に流し、同時に台を揺らす——まさに職人技です。

筆者の一枚目は、厚みがバラバラ。
「次こそは」とイメージトレーニングを重ねて再挑戦しますが、やはり簡単ではありません。
実際の現場では、さらに量の少ない海苔で作業していたというから驚きです。

風に揺られ、乾いていく海苔

おいしくなあれ!

海苔つけを終えたら、屋外での海苔干し。
木枠を持って移動する途中、「おいしそう!早く食べたい」という声も聞こえてきます。
風通しのよい場所に並べると、道行く人たちも興味深そうに足を止めていました。

1時間ほど経つと、海苔が乾いてパリパリと音を立て始めます。まるで海苔がしゃべっているかのようで、思わず耳を澄ませてしまいました。

焼き方ひとつで、味が変わる

最後は室内に戻り、海苔焼きの実演へ。コンロではなく、あらかじめ温めた魚焼きグリルやトースターで数秒ほど温めるのがおすすめだそうです。コンロを使うと焼きすぎてしまったり、火災の原因になったりする恐れがあるため、避けた方がよいとのことでした。

焼き方次第で香りや食感が大きく変わることを実感し、「これからは、家で食べるときにも焼こう」と心に決めました。

ひと手間で味が変わる

一枚の海苔が教えてくれること

身近な海苔が、こんなにも多くの工程を経て作られていることを知ると、自然と食べ物に向き合う気持ちが変わってきます。

職員の方から「五感を通して学んでほしい」という言葉がありましたが、参加者はそれぞれに、香りをかぎ、体を動かし、自分の手で作る体験を楽しんでいる様子でした。その体験が、海苔や食べ物全般への思いを、より深いものにしてくれます。

参加していた小学校4年生の男の子は「海苔の液体を升ですくうのが難しかったけど、そこが楽しかった。満足のいく海苔ができた!」と元気よく語ってくれました。

この海苔も、どこかで波に揺られ、生きていた。
そう思うと、「いただく」ことの重みとありがたさを、改めて感じる体験でした。

なお、海苔の博物館ではボランティアも募集しています。今回の体験を支えてくれた方の中にもボランティアの方がいて、親切に対応してくださいました。海苔に興味のある人を随時歓迎しているそうです。

「知る」だけでなく、「やってみる」ことで見えてくるものがある。
大森 海苔のふるさと館での体験は、そんなことを教えてくれました。
身近な海苔が、少しだけ特別な存在になる。そんな一日でした。

大森 海苔のふるさと館

■住所 〒143-0005 東京都大田区平和の森公園2-2
■電話番号 03-5471-0333
■開園時間 午前9時から午後5時まで
※6月から8月は午前9時から午後7時まで
■休園日 第3月曜日(第3月曜日が祝日の場合は翌日休館)
     年末年始(12月29日から1月3日まで)
■入園料 無料
■アクセス 京急本線「平和島」駅から約徒歩15分
※駅からdocomoシェアサイクルを利用も可能
■ホームページ https://www.norimuseum.com/
■Facebook 大森 海苔のふるさと館 https://www.facebook.com/norinoyakata
■X @norimuseum https://x.com/norimuseum

■「初めての海苔つけ体験」は海苔が採れる11月~翌4月までの期間限定です。
 詳しくはHPを確認してください。

■スポット情報:https://newcal.jp/spot/OTA000046

Weavee地域ライター/七里直子