
春は出会いの季節。
新たな出会いに、心ときめく方もいるのではないでしょうか。
森の鳥たちにとっても、春は恋の季節です。
春の森では、あちらこちらから鳥たちの「恋の歌」が聞こえてきます。
今回訪れたのは、横浜市栄区にある「横浜自然観察の森」。
京急本線金沢八景駅から神奈川中央交通バス「大船駅」行きまたは「上郷ネオポリス」行きに乗り、「横浜霊園前」で下車。そこから自然観察センターまでは徒歩7分です。
ここは、環境庁(現在の環境省)の助成をうけて1986年に横浜市が開設した施設。全国に10カ所設置された、市民が自然にふれあうための施設「自然観察の森」第1号として誕生しました。
2026年は開園からちょうど40年という節目の年にあたり、記念イベントも開催されるそうです。
まずは自然観察センターへ

初めて訪れる人は、まず自然観察センターに立ち寄るのがおすすめです。


森の敷地はとても広く、丘陵地の中にたくさんの散策路が伸びています。
散策路には、ミズキの道・コナラの道・タンポポの道・ウグイスの道の4種類があります。それぞれに、眺めが良い、短時間でまわれるといった特徴があるので、その日の気分でルートを選びます。

地図をもらい、歩くコースを決めてから出発すると安心です。
地図を片手に森を歩くと、ちょっとした探検のような気分。
ウグイスは、うぐいす色??
森を歩いていると、どこからか「ホーホケキョ」という声が聞こえてきました。
春を告げる鳥、ウグイスです。
姿はなかなか見つけにくい鳥ですが、その声は森の中によく響きます。
「うぐいす色」といえば明るい黄緑色を思い浮かべますか?
実はそのうぐいす色をしているのは、うぐいす餅やメジロという鳥。
ウグイスはうぐいす色をしていません。
もっと地味な褐色です。
もともと日本の伝統色「鶯色」は鳥のウグイスの色に近かったようですが、なぜ現在のような「うぐいす色」へ変わっていったのか、いくつかの説があるようです。
和菓子のうぐいす餅の色の印象が広まったこと、花札(日本のかるたの一種)でウグイスとメジロが混同されたことが影響したなど。
けれど、それだけ古来から愛されてきた鳥なのだと思います。

ウグイスは、つぶらな瞳がとてもかわいらしい鳥なので、ぜひみてほしい鳥のひとつです。
一方、うぐいす色をしたメジロは、比較的よく見かける鳥なので、ウグイスとの色の違いを観察してみてくださいね。
森に響く、鳥たちの恋の歌
野鳥の鳴き声にはいくつか種類があります。
代表的なのが「地鳴き(じなき)」と「さえずり」です。
地鳴きは、鳥たちにとって日常のおしゃべりのような声。
仲間と連絡を取り合ったり、周囲の様子を伝えたりするための声です。
一方、春になると森に響く「さえずり」は、オスがメスにアピールするための歌。また、恋のライバルである他のオスへ自分の強さを知らせる役割もあります。
つまり、鳥たちの恋の歌なのです。
ウグイスの「ホーホケキョ」は、さえずり。
さえずるのはオスだけで、夏までしか聞くことのできない期間限定の声です。
さらに木の上からは「ツーピピ、ジジジ」と軽やかな声。

こちらはシジュウカラ。街なかでもよく見かける小さな鳥です。
鳴き声を言葉として使い、仲間同士で“会話”していることが野外での研究によりわかっています。鳴き声に関する研究は、これまで複数の論文で発表されてきました。2025年には、それらの研究をわかりやすく紹介した書籍が出版され、広く注目を集めています。
鳥たちの声に耳を澄ませながら歩いていると、森が一気ににぎやかな場所に感じられてきます。
森を守る、人の手の仕事
横浜自然観察の森では、自然を守るための取り組みも行われています。
森というと「人の手を加えず、そっと見守る場所」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
けれど実際には、森は何もしないでいると少しずつ姿を変えていきます。
木が成長し、光が地面まで届かなくなると、明るい環境が好きな生きものにとっては、暮らしにくくなってしまうことがあります。そのため、森の一部のエリアでは日の光がたっぷりと注ぐ明るい林や草地を維持する管理作業が行われています。
ときにはイベントとして、森の作業体験に参加もできます。

木漏れ日の下で体を動かしていると、普段の生活では味わえない爽快感があります。歩いているときよりも、木の幹や葉っぱの自然のアロマに包まれます。
イベント情報や季節のみどころは、横浜自然観察のホームページに掲載されているので、要チェックです。
気分転換に、森を歩いてみませんか
普段パソコンの前で仕事をしていると、どうしても体を動かす機会が少なくなります。
そんなときこそ、森の中をゆっくり歩いてみませんか。
落ち葉を踏む音を聞きながら、鳥の声に耳を澄ませて無心に歩く。
それだけで、不思議と気持ちが軽くなります。

季節によって森の魅力も変わります。
春から秋には上空を舞うツバメが、秋から春には尾羽をかわいくフリフリさせるジョウビタキがやってきます。いつ訪れても新しい発見があり、そんな時間は、きっと心地よい気分転換になるはずです。
金沢八景駅から少し足を伸ばして、横浜自然観察の森へ散策に行ってみませんか?
取材日 2026/02/15
※本記事に掲載されている情報は取材当時のものです。最新の情報とは異なる場合がありますので、お出かけの際は事前にご確認ください。
スポット情報
横浜自然観察の森
■住所:〒247-0013 神奈川県横浜市栄区上郷町1562-1
■電話番号:045-894-7474
■開園時間:9:00~16:30(自然観察センター)
※園内は日の出~日没まで利用可
■休園日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
■入館料:無料
■アクセス
・京急「金沢八景駅」またはJR「大船駅」から神奈中バス
・「横浜霊園前」下車 徒歩約7分
■ホームページ:https://sancyokohama.sakura.ne.jp/