JR衣笠駅から歩を進めること5分。活気あふれる衣笠商店街の一角に、ふわりと甘く香ばしい香りが漂ってきます。その香りに誘われるように次々と買い物客が足を止める先にあるのが、今川焼とお好み焼の店『はらどけい』です。
焼きたての香りに引き寄せられる

看板メニューの今川焼(1個130円)を手に取れば、中からあふれんばかりの餡が顔をのぞかせます。一口頬張ると、独自の配合で仕上げられた生地の「もっちり・ふわふわ」とした食感が、優しい甘さとともに口いっぱいに広がります。
店主の吉岡享司さんは、常に売れ行きを見極めながら、一つひとつ丁寧に焼き上げていきます。一番人気の「つぶあん」の型に手際よく生地を流し込み、餡を置いていくその所作はまさに職人技。 「一日に何個売れるのですか?」という問いに、「それは秘密!」と茶目っ気たっぷりに微笑む吉岡さん。丹精込めて準備した生地がなくなり次第終了となるため、早い時には18時に店を閉めてしまうこともあるそうです。
自分の作ったものでお客様に喜んでいただきたい

店主の吉岡さん(64歳)の前職は、玩具メーカーの営業マンでした。子供たちに夢を届ける仕事にやりがいを感じつつも、心の奥底には「いつか自分の作ったもので、直接お客様に喜んでもらいたい」という情熱が静かに燃えていました。 その思いを形にするため、一念発起して脱サラ。30年前にこの『はらどけい』をオープンさせました。

おいしさの秘密は、約60年前に製造されたという業務用の直火焼き器。 「火が強すぎれば焦げ、弱ければ生焼けになってしまう。その日の気温に合わせて焼き時間を微調整しています」と語る吉岡さん。均一に火が通り、美しい黄金色に焼き上げられた表面は、長年の経験が成せる業です。
ご主人が食べたい期間限定メニュー

時代に合わせ価格を改定したとはいえ、今なお1個130円という良心的な価格を維持。定番の「つぶあん」「こしあん」「カスタードクリーム」に加え、ファンが心待ちにしているのが期間限定メニューです。「自分が食べてみたいものを作る」という吉岡さんの好奇心から生まれるメニューは、どれも個性的。例えば12月限定の「ビーフシチュー」は、まるで洋風の肉まんを食べているような新感覚の味わいです。
おやつに買い求める学生、夕食の買い出しついでに家族の分を包んでもらう常連さん、そして遠方からその味を求めて訪れるファン。皆が手にするのは、吉岡さんが一つひとつ丁寧に閉じ込めた「真心」そのものなのかもしれません。小腹が空いたとき、あるいは心が少し寂しいとき。 商店街の喧騒に混じる甘い香りに誘われてみてください。130円で手に入る、焼きたての幸せがそこに待っています。
取材日 2024/12/24
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
ギャラリー



スポット情報
◾️店舗名:はらどけい
◾️住所 神奈川県横須賀市衣笠栄町1-1 栄1F
◾️電話番号 046-852-9711
◾️営業時間 10:00〜19:00
◾️定休日 水・木曜
◾️アクセス JR衣笠駅徒歩5分
◾️URL https://x.com/haradokeikinug1