黄金町「Art and Syrup」日常に寄り添うアートと喫茶

黄金町駅から大岡川を渡って約5分。水色の壁に寄り添うような、かわいらしい看板が目印の小さなお店があります。「Art and Syrup(アートアンドシロップ)」は、加藤秀子さんと高橋紀子さん姉妹が営む喫茶・軽食&アートスペースです。
時計材料店を喫茶&アートスペースに改装
お二人は黄金町で生まれ育ち、ご実家では時計材料店を営んでいました。廃業後、倉庫だった場所を喫茶店に改装。当初は姉・加藤さんが漠然と「喫茶店をやってみたい」と考えていたそうですが、アート・出版関係の仕事をしている妹・高橋さんの視点を取り入れ、ギャラリーを併設することになりました。

黄金町には、国内外のさまざまなジャンルのアーティストが滞在し制作する「アーティストインレジデンス」があり、黄金町で活動するアーティストの作品も店内で販売しています。

隣接する「Art and Syrup plus」では、イベントやワークショップなどを開催。ここでの企画は、高橋さんが担当しています。

お店の名前の由来は、果物を漬けたシロップ作りが趣味の加藤さんに「アートとシロップにしたら?」と高橋さんが言ったことがきっかけ。「食べ物にシロップを加えると、フレーバーが付いて味が豊かになる。日常に添えることで豊かになるのは食もアートも同じ。そこからArt and Syrupと名付けました」と加藤さんは笑顔で語ってくれました。
アートと一緒に味わうこだわりの喫茶メニュー

おすすめのメニューは季節限定の「りんごのトライフル」。福島県産の紅玉りんごを使い、生クリームではなくヨーグルトを合わせて、さっぱりとした味わいに仕上げています。一口食べればシナモンがふわっと香り、甘さは控えめでどんどん食べ進められるおいしさです。
コーヒーは横須賀のスペシャルティコーヒー専門店「TSUKIKOYA」の豆を使用。注文を受けてから豆を挽き、ハンドドリップで丁寧に入れてくれるため、店内にはコーヒーのいい香りが漂います。今回いただいたエチオピアは、深煎りなのに重たさがなくすっきりとした味わい。りんごのトライフルとの相性も抜群でした。

また、和紅茶は横浜に本社を置く「レインブラントティー」のもの。シロップは手作りで、ソーダ割りや水割り、お湯割りから選べます。コーヒーカップも加藤さんが自ら集めたお気に入りのもので、お茶とコーヒーが好きという加藤さんの想いが感じられます。
2ヶ月ごとに入れ替わる展示会やイベントを開催
Art and Syrupでは、喫茶とともにアートを感じられる展示会やイベントを定期的に開催。展示するのは黄金町をはじめ横浜で活動するアーティストの作品が中心で、2ヶ月ごとに入れ替わります。

過去には、アートや出版の仕事にかかわる高橋さんのつながりから本にまつわる企画や金継ぎ体験、さらには「におい」にまつわるワークショップまで、多彩なイベントが行われてきました。「どのイベントが印象に残っていますか?」との問いに、お二人はそろって「どれも面白かったよね」と答えてくれました。他の喫茶店では体験できない展覧会やイベントがArt and Syrupの一番の魅力です。

取材時(2025年12月)に開催されていたのは、黄金町で制作活動する台湾のアーティスト、張 宏彥(チャン・ホンイェン)さんによる「半醒(はんせい)」展。眠りと目覚めの間のような、曖昧でゆっくりした時間をテーマにした作品が並び、夢がほどけていく瞬間の静けさをすくったような展示です。
また、作品はただ展示するだけでなく「展示販売」にこだわっているとのこと。作品がきちんと買われることで、アーティストの活動は続いていきます。「少しでも応援してあげたい」というお二人の想いが、この場所の軸になっています。
今回は黄金町のArt and Syrupを紹介しました。アーティストや作品について、笑顔でたくさん語ってくれたお二人がとても印象的でした。その人柄が、Art and Syrupの居心地のよさをつくっているのだと思います。皆さんもぜひ、Art and Syrupでアートに触れる贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
Art and Syrup
■住所:231-0057 横浜市中区曙町5-63-5
■営業時間:14:00〜18:00
■定休日:不定休(HPおよびSNSでご案内しています)
■アクセス:京急本線「黄金町駅」徒歩5分
■webサイト:https://artandsyrup.com/
■Instagram:@artandsyrup
■スポット情報:https://newcal.jp/spot/YKA000028
Weavee地域ライター/佐々木亜莉