9月10日~10月12日まで開催している「黄金町バザール+上大岡バザール2026」は、街歩きをしながらアートを楽しめるイベントです。今回初めてこの2つの駅を降りましたが、作品をたどりながら歩いてみると、それぞれのエリアの個性が見えてきました。
京急百貨店に溶け込む
アート作品の数々
最初に向かったのは上大岡駅。改札前に構える京急百貨店とウィング上大岡の館内に作品が展示されており、上大岡会場の作品はすべて無料で鑑賞できます。
1階から3階までの直通エスカレーターの壁には、京急百貨店開店30周年をお祝いした竹本真紀さんの作品が描かれており、かわいい女の子(トビヲちゃん)に出迎えられながら3階へ。

3階「婦人服・婦人雑貨」の通路には、個性豊かな「漢字の服」をまとったマネキンが並びます。左右のピアスを合わせると「鯛」や「鮭」になったり、見る角度によって「彩」という字になる服を着ていたりしました。角度を変えて見てみると、新しい漢字が現れることも。

6階に移動すると、八重洲ブックセンター近くのエスカレーターの壁に、上大岡を舞台にしたマンガの1コマを発見。1階・6階・10階の各展示スペースに、マンガのページが散らばっており、全部をつなげるとひとつの物語になるのだそう。

10階の1コマは上大岡の実際の景色をバックに、マンガの世界とリンクする形で展示されており、思わず小窓から景色をゆっくり眺めたくなりました。

またバザールでは、日本国内に加え、海外にルーツや活動拠点を持つアーティストの作品も数多く展示されています。
中国出身の劉書佳(リュウ・シュカ)さんの作品は、上大岡周辺の景色を捉えた数々の写真です。館内に3カ所展示されており、それぞれテーマが異なります。4階展示の『浮いてる花』は都会に溶け込む草木や花を見ることができ、自然のやわらかな表情に思わずうっとり。

『坂を登って眺めてみる』は、1階フードコートに展示されています。最初はフードコート内を探してみるもなかなか見つからず、途方に暮れていると、各テーブルの天板そのものが作品であることを発見!

これらの日常に溶け込むような作品から、アートには身近で気軽に親しめるものもあることに気づかされます。
京急百貨店・ウィング上大岡には、このほかにも作品が点在しています。「上大岡バザールMAP」を手に館内をめぐってみると、普段見慣れた場所にも新しい景色が見つかるかもしれません。
街散策をしながら
旧家屋やギャラリーの
展示を楽しめる
上大岡会場を楽しんだあとは、京急線に乗って黄金町会場へ。

2026年バザールのテーマは『交差する私たち―アートでつながるまち―』。先述した上大岡会場では館内をめぐりながら作品を鑑賞しましたが、黄金町会場は大岡川沿いに点在するギャラリーや旧家屋をたどりながら作品に出合います。
無料で展示を楽しめるエリアと、入場の際に「黄金町バザール2026パスポート」(一般1,000円)が必要な会場がありますが、いずれも黄金町の歴史や雰囲気を感じながらアートを鑑賞できる点が魅力です。
今回は黄金町エリアマネジメントセンターの広報担当である高橋さんのガイドで、街を散策しながら展示を楽しみました。
その中で、街の日常を背景にしながらも独特な存在感を放っていた作品の一つが「(B-2)黄金町アートブックバザール屋外回廊」に展示されているBoiingzilla(美塩・持田・ジャックとモード・ラングレによって結成されたアーティストデュオ)さんの作品。
※(B-2)などのアルファベット・番号は、黄金町会場で配布されている会場MAPに対応しています。

外階段を登ると、建物の屋根にはカラスやトカゲに似たオブジェが身を潜めています。彼らの作品は、クリーチャーや不思議な風景、奇妙な物語が交差する架空の世界を描いたもので、高架下の薄暗さも相まっておどろおどろしい雰囲気がただよっています。

非日常の世界にトリップするような作品がある一方で、黄金町に暮らす人たちの日常に思いを馳せたくなるような作品も。「(J)山本アパート」にある嘉春佳(よし はるか)さんの作品は、黄金町周辺に住む方々の古着を集めた窓の展示です。古着=記憶と捉え、「異なる人々の記憶や時間が重なり合う、想像上のまち」を表現したそう。


※嘉春佳さんの作品を鑑賞するには、「黄金町バザール2026パスポート」が必要です。
また、黄金町アートブックバザールの店内に飾られている近あづきさんの作品からは、港町・横浜が織り成してきた歴史が感じられます。この作品は、昭和から現在まで、横浜に住んでいた外国人の人口を編み物で表現したもの。遠くでは同じ色に見えていた場所も、近くで見ると微妙に違ったり、見る角度によっても別の表情を楽しめたりします。


アートでつながることで
街全体が元気になる
今回のテーマである『交差する私たち―アートでつながるまち―』を感じさせる作品を鑑賞していると、自然と街に思いを巡らせる時間にもなりました。
案内してくださった高橋さんは黄金町近隣の出身。今では「アートのまち」として知られるようになった黄金町の移り変わりを教えてくれました。
「2000年代に入るまで、黄金町には違法風俗店が多く、当時は『子どもが近づいてはいけない』と言われるようなエリアも。それが、2005年に行われた「バイバイ作戦」で違法店舗が一斉摘発され、空き店舗などを利用したアートによるまちづくりが始まったんです。街の雰囲気が少しずつ明るくなり、大人も子どもも安心して楽しめる街へと変化していきました。
2008年に、この『黄金町バザール』がスタートしてからもうすぐ20年。昨年からは上大岡エリアの方々とも一緒に取り組むようになり、バザールの活気がさらに高まっていると感じています」
今回は上大岡と黄金町の両会場をめぐるスタンプラリーが実施されており、スタンプをすべて集めるとオリジナルステッカーがもらえます。上大岡と黄金町の街を歩いた記念にもなりそうです。


最後は黄金スタジオに寄ってしばし休憩。会期中は日に寄って提供メニューが異なりますが、コーヒーや紅茶、食事を楽しむことができます。



アートをたどると
街の魅力が彩る
黄金町・上大岡バザールをめぐってみると、作品だけでなく、その途中にある街の景色にも自然と目が向きました。黄金町では気になるカフェもいくつか見つかり、次はその店を目的に、また訪れてみたいと思います。
アートをきっかけに降りた駅が、次に訪れたい街へと変わっていく。10月12日までの会期中、二つの街にはそんな出会いがあふれています。
スポット情報
黄金町バザール・上大岡バザール2026
■会期:2026年9月10日~10月12日
■開催時間:11:00-19:00(黄金町)※木曜休場、10:00~20:00(上大岡)※会期中無休
■アクセス:京急本線「日ノ出町駅」または「黄金町駅」、「上大岡駅」
■公式サイト:https://koganecho.net/koganecho-bazaar-2026/
取材日 2026/09/10
※本記事に掲載されている情報は取材当時のものです。最新の情報とは異なる場合がありますので、お出かけの際は事前にご確認ください。