都心から約1時間、潮風と大地の恵み豊かな三浦半島。この地で江戸時代から約400年の歴史を持つ伊藤農園 伊藤克己さんが特に情熱を注ぐのが「かぼちゃ」です。美しい花が咲き誇る5月、その一瞬に、生産者・伊藤克己さんが仕掛ける“魔法”とこだわり抜いた栽培法とは?
畑に輝くかぼちゃの花

「これが、かぼちゃの花粉です」
初夏の光がまぶしい5月の中旬、伊藤農園のかぼちゃ畑には、青々と茂る大きな葉の陰で、ハイビスカスのような黄色い花が咲いています。農園主 伊藤さんが摘み取ったのは雄花です。花びらをそっと開くと、黄金色の細やかな粉がついています。

花粉を一輪一輪、雌花へと人工授粉していきます。かぼちゃの花が開くのは、早朝から9時頃です。午前10時頃になると、しぼみ始めるため、花が最も元気な早朝に、畑を回り、一つひとつ丁寧に授粉作業を終わらせます。

「ほら、ぷっくりしていますよ」
伊藤さんが大きな葉をめくると、現れたのはツヤツヤと輝く小さな実。
数日前まで花の付け根だった部分が、ゴルフボールほどの大きさに膨らんでいます。
これが、かぼちゃの赤ちゃんです。大きな葉は強い日差しから実を守り、光合成でたっぷりの栄養を送り続けます。
江戸時代から約400年続く伊藤農園

江戸時代から続く農家、伊藤農園 伊藤克己さんは農業高校を卒業後、家業の農業に携わり、約35年。
年間で栽培する野菜は、なんと約180種類。その多彩さだけでも驚きですが、伊藤さんが特に情熱を注いでいるのが「かぼちゃ」です。
かぼちゃだけで30種類以上も栽培しています。その品質は大手種苗メーカー「サカタのタネ」の通販サイトで「伊藤農園のかぼちゃ」として取り扱うほど、折り紙付き。
逸品と呼ばれるかぼちゃの驚きの栽培方法とは

「自分の名前がついた『伊藤農園のかぼちゃ』として、お客様のもとへ直接届くわけですからね。ちゃんとした、本当に美味しいものを提供しないといけないと、いつも緊張感ですよ」と伊藤さんは微笑みます。地温の上昇と雑草防止、雨による病気発生防止のための黒い保護シートとネットを敷いた上に、整然と並ぶかぼちゃたち。
伊藤さんが実践するのは親蔓1本仕立てという栽培方法です。
伸びたわき芽(子蔓)を全て掻くことで、栄養やエネルギーを1本の親蔓と、数個の実に集中させています。
そのため、糖度が高く、味が濃い、きめ細やかでほっくりとした食感のかぼちゃが育ちます。大きさや重さも増し、まさに「逸品」と呼べる品質です。

「これからどんどん大きくなりますよ」と愛おしそうにかぼちゃを見つめます。
着花から30日の栽培で収穫するカボチャをさらに15日間かけて熟成させることで、甘さは抜群、皮まで柔らかくホクホクに。「味わいの絶頂期」で収穫します。
「品質の良い野菜を生産するだけでなく、商品価値を高めて販売することが農家として大事です」
天候から日々の作業、生育状況に至るまで、毎日欠かさず書き留めてきた膨大な記録をもとに、伊藤さんは独自のかぼちゃ栽培方法を確立しました。一玉のかぼちゃに込められた、計り知れない時間の重みと、作り手の想いが伊藤農園としてのブランド価値を築き上げています。
6月中旬に、待ちに待った収穫が始まります。
直接注文や自宅直売所のほか、サカタのタネや安心堂のオンラインショップで購入することができます。
取材日 2025/5/24
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。
ギャラリー



スポット情報
◾️店舗名 :伊藤農園直売所
◾️住所:神奈川県三浦市初声町和田2730
◾️電話番号:046-888-2486
◾️アクセス:京急線三崎口から京急バス「赤羽根」下車徒歩3分
◾️URL https://miura-shokusai.net/member/5553