【三浦】トラック一台分を間引く!三浦半島発「おろぬき大根」は秋限定の幻の味「加藤農園」
2026.04.03
三浦

【三浦】トラック一台分を間引く!三浦半島発「おろぬき大根」は秋限定の幻の味「加藤農園」

うみのとなり

ライター

うみのとなり

秋の風が三浦半島を渡り始めた9月下旬、畑一面には、青々とした大根の葉が広がっています。冬の食卓を賑わす、あの立派な大根が大きく育つまでの間に、農家さんは気を抜けない、大切な仕事があるのをご存知ですか?それが、密かに旬を迎える「おろぬき大根」の収穫です。

収穫量が“はんぱない”!おろぬき大根とは?

大根の種をまいてから約1か月。土から芽が顔を出し、葉がすくすく育ち始めた頃に行われるのが「おろぬき」作業です。成長途中の大根を間引いて、残した株に十分な栄養とスペースを与える大切な工程です。

加藤農園では、1か所に2粒ずつ種をまきます。発芽率を高め、土を押し上げて芽を出しやすくするためです。そのうち、より元気な株を残し、もう一方を抜き取ります。農家によっては3粒まくところもあれば、逆に最初から1粒だけにして作業を減らすところもあり、やり方はさまざまです。

畑一面の作業を終えると、トラック一台分にもなるほどの大量にのぼります。にもかかわらず、市場に出回らない理由は、おろぬき大根が「販売を目的に作られていない副産物」だから。本来の目的は、大きく育てる大根(本大根)の生育環境を整える「間引き」作業です。副産物であるおろぬき大根は、一般的な流通ルートで販売することが難しいのです。

多くの農家さんは、この美味しい副産物を自宅で食べるほか、知り合いにあげたり、直売所で販売します。それでも、残ってしまった場合はやむを得ず廃棄になります。おろぬき大根は、地元の人にとっては短い期間だけ楽しめる「季節の小さな楽しみ」です。

味わいは素朴、ちょっぴり辛味も

茹でて醤油や胡麻油をかけた一品は、素朴ながらも、畑の恵みをそのまま感じられる味わいです。「最初の一口は“うまい!”と感じるけれど、ちょっと苦いかも」という声もあれば、「その苦味がクセになる」という声も。浅漬けや味噌汁はもちろん、炒めもの、チーズたっぷりのグラタンも抜群の美味しさです。

筆者のお気に入りは、ベーコンとニンニクを炒めること。シャキシャキとした若々しい大根に、ベーコンの旨味と塩気、そしてガツンと効いたニンニクの香りが絡み合います。ビールや日本酒のおつまみとしても、ご飯のおかずとしても大活躍間違いなしの、素朴ながらも滋味深い炒め物です。

大根栽培が始まりました

「おろぬきが始まると、“ああ、夏が終わったな、秋が来たな”って思います。農家にとっては季節を教えてくれる作業です」そう話すのは、三浦市初声で「加藤農園」を営む加藤正人さん。
畑で抜かれる小さな大根たちは、市場に並ぶことはほとんどありません。しかし、農家にとっては欠かすことのできない存在であり、季節を告げる合図でもあるのです。

おろぬき作業は立ちっぱなしではなく、乗用の小型作業車に座って行います。畑の溝幅に合わせて調整できる台車に座り、後ろへ下がりながら3列分の葉を抜いていくという方法。単純そうに見えて、実は根気のいる重労働です。
苦労は鮮度にもあります。おろぬき大根は収穫後すぐにしおれてしまい、2時間もすれば“くたっ”としてしまうほど。翌日には黄色く変わってしまうこともあります。だからこそ、その瞬間に味わう新鮮さは格別です。

大根作りを支える「おろぬき」の存在

「おろぬき」の作業が終わると、いよいよ畑は本格的な成長期を迎えます。間引かれたことで十分な栄養とスペースを得た大根たちは、ぐんぐんと力強く太っていきます。
種を植えてからおよそ3カ月。
秋風が心地よくなる頃には、立派に育った大根として出荷の時を迎えます。煮物に、おでんに、サラダにと、食卓を豊かに彩る冬の主役です。

三浦の秋の知らせ役を務めるおろぬき大根。小さな存在に込められた農家の努力と季節の物語を、次に大根を手に取ったときに、少し思い出してみてはいかがでしょうか。
(※野菜の直接の個人販売は行っておりません。「ヨークマート久里浜店」もしくは「野菜の里 須軽谷」にてお買い求め下さい)

取材日 2025/9/22
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

ギャラリー

種を植えるときに使うシーダーテープ。青い部分が種です。農協に株間・粒数をカスタムオーダーします。
おろぬき前の畑の様子。元気いっぱいに大根の芽が成長しています。
おろぬき作業後の畑。込み合った葉が取り除かれ、株間に日光が十分に届くようになります。
スポット情報

◾️店舗名:加藤農園
◾️住所:神奈川県三浦市初声高円坊
◾️電話番号:090-8300-9717
◾️URL https://www.instagram.com/masato.kato.808/

この記事を書いた人

うみのとなり

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うみのとなり

横須賀在住取材ライター。マーケティング視点を強みに、「読まれる記事」「届く発信」で、地域の魅力と価値を発信中。Yahoo!ニュースでは月間MVAを4度受賞、実績に裏付けられた発信力あり。日本テレビ、大手・地域メディアで多数執筆し、約1000件以上の実績あり。農業・グルメ・観光・イベントまで幅広い分野を網羅、行政や企業とのタイアップ実績も多数。

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