【三崎】マグロの港町に金目鯛ひとすじの味処「公海」。漬け丼のおいしさの秘密
2026.04.25
三浦

【三崎】マグロの港町に金目鯛ひとすじの味処「公海」。漬け丼のおいしさの秘密

小林有希

ライター

小林有希

  • #お土産
  • #グルメ

地魚や三崎マグロで知られている三崎。そんな港町に、高級魚・金目鯛の奥深い味わいに出会えるお店があるのをご存じでしょうか。

三崎商店街の海南神社入口に店を構える金目鯛専門店「公海」2号店。ここでは、専用漁船第八大徳丸が捕る金目鯛をさまざまな料理で楽しむことができます。

店主を務めるのは2代目の熊木みゆきさん。開業当初から自ら包丁を握り、金目鯛と向き合う中で様々なメニューを考案してきました。そのひとつ、秘伝のタレをまとわせた「金目鯛の漬け丼」(2,000円・税込)は、訪れた方々の舌をとらえて離さないと評判です。

刺身で味わう、金目鯛の旨み

第八大徳丸が釣り上げるのは、高知県沖の深海で育った金目鯛。金目鯛はすぐに船内の急速冷凍設備でマイナス50℃に凍結されるため、「公海」の金目鯛は鮮度抜群です。

「漬け丼の刺身は三枚におろした後、皮部分だけを湯引きしています。すると、やわらかくふっくらした白身、栄養たっぷりな皮、そして身と皮の間に詰まっている脂の甘みまで、金目鯛を余すところなく堪能できます」

「脂質の良い1kg超えの金目鯛を使うのが、うちの絶対条件」と話す熊木さん。脂がしっかりのった金目鯛は、ねっとりと濃厚な旨みを味わえます。さらに“秘伝”のタレのコクが絡むと、格別な美味さに。

漬け丼には三浦野菜を使ったお手製の漬物、塩だけで調えた金目鯛のあら汁、そしてカマの煮付けが添えられ、よりいっそう一膳を豪華に彩ります。

マグロの街で育った少女が、
金目鯛と出会う

三崎はかつて、船員を目指す若者が日本中から集まるマグロ漁船の町で、下宿屋が軒を連ねていました。そのひとつ、下宿屋「柳」を営んでいた家に生まれた熊木さんも、幼い頃から船員と暮らしていました。そして岩手出身の鈴木盛夫さん――。後の「公海」初代店主からは妹のように可愛がられていたそうです。

初代・鈴木盛夫さん。

「あんちゃんはマグロ漁船の船頭をしていましたが、引退後に大徳丸の船頭・大井さんに『金目鯛を売らないか』と勧められたようで。いきなり私のところにきて『俺もやるから、お前もやれ』って声をかけてきたんです(笑) それがスタートですね」

1号店で販売している金目鯛の加工品。

しかし鈴木さんは仕入れを担うも、加工・販売は熊木さんに一任。商売の経験がなかった熊木さんは、同じ三崎商店街にある老舗・石上商店に駆け込み、3年程指南を受け、後の「公海」の代表となる味わい、味噌漬け・粕漬け・塩麹漬けの3種を完成させたそうです。

はじめは石上商店の一部を間借りして金目鯛の漬けを販売していましたが、後に商工会議所の後援があり、横浜高島屋での取り扱いがスタート。そこから全国への通販や1号店出店につながったそうです。

受け継いだのは、
味への信頼と海への敬意

「マグロの町に金目鯛で挑む……まるで“殴り込み”のような船出でしたね」と過去を振り返る熊木さん。しかし、金目鯛の味に絶対的な自信を持ち、成功を確信していた先代・鈴木さんの言葉が熊木さんの背中を押してくれました。

「大徳丸の金目鯛は『王者だ』って。『マグロは赤身、金目鯛は白身だから喧嘩しない』とも言っていました。職人気質だったので、販路や売り方についてはまったく教えてくれず(笑) でも、捌き方には本当に厳しく口を出されました」

鈴木さんの魚に対する真摯な姿勢と「身を傷つけるな」、「海に敬意を払え」という先代の教えは、今でも彼女の手仕事に生きています。いまも多くのマグロ漁船が出港する三崎で、白身の“王者”・金目鯛を食べてみませんか。

取材日 2025/07/24

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

飲食をメインとする「公海」2号店の1階にはテーブル席、2階には座敷とテーブル席をご用意。
日本家屋風の座敷は昔ながらの風情があります。
元々は蔵だったという建物の窓から覗くのは、港町の光景。
階段側にはテーブル席もご用意。2階で団体さんの貸し切りも可能です。
スポット情報

金目鯛専門店「公海」2号店

■住所:神奈川県三浦市三崎4丁目8−9
■電話番号:046-874-5258
■営業時間などの情報:
11:00~15:00(火~金)、10:30~15:30(土・日)
■定休日:月曜
■アクセス:京浜急行バス「三崎港」より徒歩1分
■URL:https://www.11471616.jp/

この記事を書いた人

小林有希

ライター

小林有希

東京在住フリーライター/Web編集。2016年にアパレル企画兼バイヤーを辞めて、ライターに。 紙、WEB問わず企業PR、ファッション、アート、地域、建築、教育、働き方など多分野で執筆中。

この記事をシェアする!