三浦海岸駅から歩いて2分ほど。一本路地に入った住宅街に、創作料理を提供する居酒屋「清丸」があります。

ここは、漁師の父を持つ店主・鈴木誠一さんが毎日開店直前に地元・松輪港で仕入れてきた新鮮な魚をいただくことができると評判のお店。中でも、お客さまの9割が目当てにやってくるという「地魚の造り」(時価)には、三浦の海の恵みと職人の技が詰まっています。
旬が饒舌に語る、地魚の魅力

寿司下駄の上に並ぶのは、宝石のように輝く地魚たち。取材当時はシケが続いたにもかかわらず、12種類もの魚が揃い、カワハギ、金目鯛、ヘダイ、大トロ、太刀魚、石鯛、鰆、コショウダイ、アジ、キジハタ、鯨、そしてヒラメの数の子巻きが艶めいていました。

今が旬のカワハギの肝和えは、濃厚でクリーミーな肝の旨みが日本酒を誘います。この希少な魚の特別な味わいを求めて、東京から足を運ぶ常連さんも少なくないのだとか。

また、近海は鯛の種類が豊富のため、食べ比べも楽しみのひとつ。旨みの強いヘダイ、噛むほど甘味が広がるコショウダイ、弾力と上品な味わいが特徴の石鯛。同じ鯛でも味わいが異なるため、舌を楽しませてくれます。

ほかにも馬刺しと間違うような柔らかさと淡泊な味わいのニタリクジラ、ヒラメで包まれた自家製の数の子のプチプチとした食感など、鈴木さんの工夫と一皿へのこだわりが詰まっていました。
父から受け継いだ“清丸”の屋号
店名にある「清丸」は、漁師である父の船の名前。幼い頃から父の船に乗せてもらい、近海の海で共に釣りを楽しみ、家では魚をおろす父の背中を見て育ったと話す鈴木さんは、「船は継げなかったけれど、名前だけは必ず継ごうと決めていました」と語ります。

魚の目利きは父譲り……ではなく、料理人になってから独学で磨き上げた技。
「父から教わったこともありますが、昨今の温暖化の影響で魚の質が変わってしまったので、昔得た知識だけでは通用しません。南方の魚が獲れたり、同じ種類の魚でも巨大化していたり。また、料理人として知識をつけたことで、自分の目と舌で学びを深めることができたと思います」

極上の造りに変える
目利きの技と“寝かせ”の技
上質で、活きの良い魚の提供が「清丸」の売り。だからこそ、鈴木さんはほぼ毎日松輪港に出向き、魚の状態を見極めます。

「アジなら小さい頭、平たい体、背中の盛り上がり、尾付近の肉付きなどを見ます。魚ごとに見るポイントが異なるので、漁師さんが水揚げするときも、わずかな違いも見逃さないように全神経を集中させます」
しかし鈴木さんの匠の技は、目利きだけではありません。魚の旨みを最大限引き出すために、敢えて熟成させる場合もあるといいます。

「神経と血を抜くと死後硬直が始まりますが、それが解ける頃に旨身が生まれるんです。歯ごたえを残しつつ旨味を出す、絶妙なバランスを見つけるまで、かなりの魚を費やしました」

試行錯誤の末にたどり着いた、まさに職人の技。さらに、地元農家さんから届く旬の野菜が合わされば、三浦半島の四季折々の恵みを堪能できる至高の料理へと生まれ変わります。ぜひ「清丸」で、最高の夜をお過ごしください。

取材日 2025/10/21
※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。




スポット情報
創作料理 清丸
■住所:神奈川県三浦市南下浦町3131
■電話番号:046-888-2583
■営業時間などの情報:18:00~0:00
■定休日:日曜
■アクセス:京浜急行「三浦海岸」徒歩2分
■URL:-