【横須賀】築110年の石蔵で味噌を仕込む「幸保六兵衛」—人と文化が集う交流拠点
2026.04.05
三浦

【横須賀】築110年の石蔵で味噌を仕込む「幸保六兵衛」—人と文化が集う交流拠点

うみのとなり

ライター

うみのとなり

横須賀・浦賀の静かな通りに、大正時代から時を重ねる蔵を再生した「天然石蔵醸造 みそ工房 幸保六兵衛」があります。長い歴史を持つ建物と、店主の手仕事、そして地域の想いが一つになり、ゆっくりと息づく“まちの交流拠点”として生まれ変わりました。

歴史を伝える「記憶の蔵」

江戸時代は干鰯問屋を、明治期には米屋や燃料屋として地域を支えた老舗です。現在の建物(母屋)は、関東大震災(1923年)直後に再建されたもので、100年を超える木の柱や梁、分厚い土壁に当時の息遣いが残っています。

特に目を引くのが、大正4年(1915年)に米蔵として建てられた「石蔵」です。
千葉・房総半島産の房州石が一面に積まれた重厚な趣は、関東大震災をも耐え抜いた強靭さを今に伝えます。
この蔵は110年以上にわたり地域の営みを見守り続け、内部からは昭和初期の新聞や戦時中の道具など、まるで小さな博物館のように歴史的な品々が見つかっています

商家の造りを今に伝える
「母屋」 

母屋は、大正14年(1925年)に関東大震災で倒壊した旧家屋の跡に、典型的な商家の造り(間口二間半、奥行き五間)で再建されました。
2024年の改修では、雨や湿気で傷んだ屋根や基礎を丁寧に補強する「全層」改修が行われました。一枚の板、一筋の梁に至るまで、建物の構造と記憶を大切にする敬意が込められています。
格子戸を開けると、当時の木の香りが漂い、床板には代々の暮らしが刻んだ細やかな傷と温もりが残ります。

母屋二階は十畳と六畳の続き間。当時の窓を残しつつ畳を新調した広間は、古き良き趣をそのままに清々しく生まれ変わりました。
店主の幸保節子さんは「昔の面影を残しながら、これからも人が集まる場所にしたい」と話します。建物の記憶とともに、未来へと息を吹き返した空間です。

店主・幸保節子さんの思い
「人も味噌も、焦らずに育てる」

「この建物を壊してしまうのは、もったいないと思いました。『残したい』という気持ちが、すべての始まりでした」と話すのは、店主の幸保節子さん。2025年6月、石蔵で天然醸造する味噌工房として新たな一歩を踏み出しました。

味噌づくりは、まさに“時間と向き合う仕事”。
温度や湿度、季節の変化に寄り添い、発酵という自然のリズムを信じて待つ。
「人も味噌も、焦らずに育てることが大事」という節子さんの笑顔には、やわらかな強さが宿っています。

文化が集い、人がつながる
“まちの交流拠点”へ

「建物も味噌も、ゆっくりと熟成していくもの。この場所が、地域の人にとって“懐かしくて新しい”存在になれたらうれしいです」
今後は、節子さんが学んできた琴や茶道の経験を生かし、2階を町屋再生事業・文化活動の場として開放予定です。伝統芸能の演奏会や伝統文化の教室、結婚式など、様々な活動での利用を歓迎しています。

かつての商家が、再び“人と文化が集う場”として息を吹き返しています。
文化が集い、人がつながる“まちの小さな交流拠点”。ここに来れば、誰かと話したくなる。
そんな温かな場所を目指して、今日も蔵の中には、静かな発酵の音が響いています。

手作りの天然醸造味噌は、国産米糀や麦麹を使用し、塩分控えめで優しい味わいに仕上げています。看板商品には、アメリカ産ひよこ豆を使った「浦賀ペルリみそ」や、国産麦麹が香る「横須賀トモダチみそ」(300g・400円、650g・800円)があります。
香り豊かな生みそは、味噌汁はもちろん、みそ漬けやドレッシングなどにも最適。この暖簾をくぐって、歴史ある空間で育まれた味わいを、心ゆくまでお楽しみください。

取材日 2025/8/27
※掲載されている商品・情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

ギャラリー

石蔵内に醸造室を作っています。換気扇を設置し、「空気の循環」を行いながら、自然の温度変化だけを利用してじっくり天然熟成させています。
炊飯器でじっくり5時間かけて仕上げる、米麹とご飯だけの甘酒は、砂糖を使わず自然のやさしい甘みです。
2階からは浦賀湾を見渡すことができます。
スポット情報

店舗名:天然石蔵醸造 みそ工房 幸保六兵衛
住所:神奈川県横須賀市東浦賀2丁目2ー23
電話番号:046-813-1508
営業時間: 火曜〜金曜 10:00~16:00
定休日 :月曜・土曜・日曜
アクセス:京急浦賀駅より徒歩13分または京急バス 「観音崎」「かもめ団地」行きにて2停目「新町」下車徒歩3分
URL: https://www.koborokube.com

この記事を書いた人

うみのとなり

ライター

うみのとなり

横須賀在住取材ライター。マーケティング視点を強みに、「読まれる記事」「届く発信」で、地域の魅力と価値を発信中。Yahoo!ニュースでは月間MVAを4度受賞、実績に裏付けられた発信力あり。日本テレビ、大手・地域メディアで多数執筆し、約1000件以上の実績あり。農業・グルメ・観光・イベントまで幅広い分野を網羅、行政や企業とのタイアップ実績も多数。

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