ヒミツの現場~横浜市中央卸売市場の一般開放に行ってみました~

京浜急行電鉄「神奈川駅」を降りて、みなとみらい方面に15分ほど歩いたところに横浜市中央卸売市場本場があります。
この市場は、1931(昭和6)年に全国で3番目(東日本初!)にできました。普段は業者しか入れない場所ですが、一般の人でも入れる機会があると知ってさっそく行ってきました。
肌で感じる市場の活気
一般開放は毎週土曜日に行われているのですが、中でも第1、第3土曜日は特別なイベントが開催されるとのこと。せっかくならイベントも楽しみたいと思った私は、第1土曜日にお邪魔しました。
入場すると、右側に関連棟(食堂・物販エリア)、左側に水産仲卸(なかおろし)棟があります。
私が到着したのは朝8時。すでに多くのお客さんが来場していました。近所から徒歩や自転車で来ている人も。一般開放が行われている水産仲卸棟へ期待を膨らませながら向かいます。

土曜日でも買い付けに来る業者の方はいるので、本当に市場の日常に入り込んだような雰囲気です。建物内は新鮮な生魚のにおいと元気のいいかけ声でいっぱいです。

新鮮な魚がたくさん売っているのはもちろんですが、貝好きな私は直径12㎝もあるホタテ貝をゲット。家に帰って、魚焼きグリルで焼いて食べました。 魚も野菜も、新鮮なだけでなく、小売店より安い市場価格で買えることにお得感を感じます。

市場内を不自由なく行き来する車のための上下開閉型の自動ドアですが、見慣れない私にとってはこれも新鮮。ついワクワクしながらくぐってしまいました。

一般開放の醍醐味は、なんと言っても仲卸業者から新鮮な魚や貝類を直接購入できることです。毎週通って常連になると、旬を教えてもらったり、値段交渉をしたりと、市場ならではの楽しみが増えるのだそう。自分だけのお気に入りの仲卸業者さんを見つけたくなります。
大人気のマグロの解体ショー
第1、第3土曜日には特別なイベントが開催されるのですが、取材日は「マグロの解体ショー」が行われていました。この日の主役は沖縄県産の養殖本マグロです。 養殖の魚は同じ方向に泳ぎ続けるのでヒレが曲がり天然の魚との区別がつくのだそう。

「切るときに『よいしょ!』って言うから、そしたら『よいしょ!』って返してくださいね」と、会場を巻き込みながらの解体ショー。途中でマグロを近くで見てもらったり、持って重さを体感できたり、中落ちプレゼントのじゃんけん大会をしたり。みなさんに楽しんでほしいという想いをひしひしと感じたショータイムでした。

「マグロの顔はかぶれますか?」と質問した男の子に「本当にかぶるんだったらおうちの人に許可取ってきてね」と促し、会場を沸かせた尾田さん。無事におうちの人の許可をとった男の子は、勇気を出してマグロの頭の中へ。その大きさや重さにビックリしていたようでした。ちなみに、今回の解体ショーで使われたマグロは56㎏。頭の重さは5㎏ほどだそうです。

マグロの解体ショーを担当している尾田さん(写真左)
水産棟は昭和61年、青果棟は平成4年に現在の建物になりましたが、それ以前の建物には壁がなかったのだそう。「もっと開放的で、青果も魚もみんな一緒にワイワイやっていたから楽しかった」と昔話に目を細める荒井さん。今は囲まれた建物だけど、気持ちは当時のまま。少しでも市場のことを知ってもらいたい、楽しんでほしい、魚の情報や食べ方を広めて魚離れを食い止めたい、という熱い想いをもって一般開放を実施しているのだといいます。
イベントは、大迫力の「マグロの解体ショー」のほか、毛糸でお魚チャームを作る「濱の魚河岸ワークショップ」や「市場探検隊」など親子で楽しめるものも。日程は月ごとに変動するので、お出かけ前にホームページでご確認ください。
水産仲卸棟の一般開放
住所 横浜市神奈川区山内町1番地
電話番号 045-459-3400(横浜魚市場卸協同組合)8:00~14:00
アクセス 京浜急行電鉄「神奈川駅」徒歩15分「横浜駅」徒歩20分
横浜駅東口バスターミナル4番乗り場から横浜市営バス48系統「中央市場前」下車徒歩1分
開催時間 毎週土曜日午前8時~午前10時
駐車スペースには限りがあります。できる限り公共交通機関でお出かけください。
市場で味わいたい新鮮お魚グルメ
中央卸売市場には、10の飲食店が入っています。この飲食店は市場で働く人の食堂も兼ねていますが、一般開放の日でなくても市場外の私たちが利用することができます。

新鮮な魚で定食というと、お刺身などの生ものが最初に頭に浮かびますが、横浜市中央卸売市場の飲食店にはラーメンや天ぷらなど、火を通したメニューを提供している店もあります。
「ファミリー歓迎」という表示のある店もありますが、全体的にはどの店もこじんまりとした造り。家族みんなでゆっくり楽しみたいという方はテイクアウトを利用するのもひとつの手かもしれません。

私が「もみじや」で注文した海鮮丼は+110円で、マグロを本マグロに変更することもできます。
この日の具材は、甘エビ、マグロ、ネギトロ、ぶり、かつお、イカ、釜揚げしらす、いくらでした。当日の朝に仕入れた新鮮な魚で作るので、内容は変わることもあるそうです。それにしても、豪華な海鮮丼!
平日限定で、味噌汁、サラダ、お新香の無料おかわりサービスもやっているとのこと。つい通いたくなってしまいます。
飲食店と同じエリアには、乾物や花、料理道具などを売っている店もあり、誰でも利用することができます。
関連棟 食堂・物販エリアの一般開放
実施日 水産物部の横浜市場開市日(下記ホームページで日にちをご確認ください)
営業時間 9:00~14:00
営業時間は店舗によって異なります。詳しくは各店舗にお問い合わせください。
11月は市場まつりへ
11月9日(日)には、横浜市場まつりが開催されます。買って、食べて、体験できる年に一度の横浜市中央卸売市場本場のおまつりです。
子ども向けのコーナーや抽選会など、いつも以上に活気があって盛り上がると聞き、私も行ってみたくなりました。おまつりは午前8時~午後1時30分。詳しくは、以下のページをご覧ください。

金曜日まで仕事をしていた私は土曜日の早起きに消極的でしたが、思い切って行ってみたらそんな想いは吹き飛びました。市場ならではの雰囲気を味わえる横浜市中央卸売市場は早起きして行く価値を感じ、むしろ威勢のいい掛け声に元気をもらった気がしました。
みなさんもちょっとの早起きをがんばって、いつもと違った週末を過ごしてみてはいかがでしょうか。
Weavee地域ライター/松井 美智子