災害を知って、感じて、身につける~横浜市民防災センター~

京浜急行電鉄「横浜駅」の中央改札を出て、西口を歩くこと10分ほど。横浜市民防災センターは沢渡中央公園の一角にあります。1983年にオープンした同館。2018年に全面リニューアルし、2025年10月からは能登半島地震の揺れを体験できるようになったとのことで、さっそく見学してきました。
災害を肌で感じる体験ツアー
横浜市民防災センターで行われているツアーは「地震・火災体験ツアー」と「風水害体験ツアー」の2種類。今回は、勉強に来ていた学生さんと一緒に「地震・火災体験ツアー」に参加しました。

「地震・火災体験ツアー」は映像からのスタートです。シアタールームに入ると、階段状に並んだ5列の長椅子と、円形のスクリーン。スクリーンが座席をぐるっと囲んでいるので、映像に臨場感があります。

学生さんの中に日本語が苦手な方がいたので、映像には英語の字幕が付いていました。この他に、中国語、韓国語の字幕、聴覚障害の方のための日本語の字幕にも対応しているそうです。
白ネコが防災について語っていく笑いあり、涙あり、学びありの15分ほどの映像でした。

ツアーにはアテンドしてくださる方がいて、体験と説明がセットで行われています。
地震の揺れを体験するだけでももちろん衝撃はありますが、「阪神淡路大震災のときは、いきなり大きい揺れが来た」とか、「能登半島地震のときは、1回目より2回目の方が揺れが大きかった」とか、分かりやすく具体的な解説を聞いて、より地震をリアルに感じることができました。

10畳ほどの減災トレーニングルームは木造家屋のリビングダイニングをイメージして作られていて、ツアーで学んだことを実際の状況に近い形で最終確認することができます。
この日は学生さんと2グループに分かれて体験したのですが、1グループ目は地震のあとに火事、2グループ目は地震のあとに余震、と異なる状況が起こりました。
ツアーに参加し、たくさん学んだと思っていた私ですが、とっさの判断はとても難しく、バタバタとしてしまいました。

ツアーはこの他に、消火器の使い方、煙からの避難方法などを学び、全部で60分。
当日の飛び入り参加もできますが、予約をした人で埋まっているときは参加できないことも。日にちが決まっていれば、事前に予約していく方が安心です。
「習得できるまで、何回でも参加していいからね」と言われ、アテンドの鈴木さんとお別れです。
ツアー終了後に体験した学生さんに感想を聞いてみると、「頭を守る大切さを学んだ」と話していました。ツアー中に鈴木さんが「生きるためにまずは頭を守るように」と、くり返し話していたことが学生さんの印象に残ったようです。自分の身は自分で守る「自助(じじょ)」を目指して私もがんばろうと決意を新たにしました。
ココには体験できる災害がたくさんあります
横浜市民防災センターでは、ツアーの他に7種類の体験プログラムが用意されています。私は「災害時に役立つワークショップ」に参加しました。
参加したワークショップでは、災害時の新聞紙の使い方とスリッパ作りを教えてもらいました。

「新聞紙で作るスリッパ」は以前から知っていたのですが、今回のワークショップで私は知識不足が発覚しました。なんと、自宅での室内履きとして使うと思っていたのは大間違い!正しい使い方を教えてもらい、納得しました。
みなさんもぜひワークショップで正しい知識を身につけてみてはいかがでしょうか?
体験プログラムは、最低人数5人からの予約制。災害時には、共に助け合う「共助(きょうじょ)」も大切になってきます。ご家族やご近所さん、お友達などと一緒に防災について考えるきっかけになりそうです。
【体験プログラム一覧】
https://bo-sai.city.yokohama.lg.jp/experience/program

ツアーや体験プログラムのほかに、予約なしでいつでも自由に見学ができる場所もあります。
横浜市では6割がマンション住まいということで、2024年に「マンション防災考えるーム」が作られました。
実際に上り下りできる避難はしごがあったので体験してみると、思った以上に大変でした。はしごは、一番上の部分しか固定されていないので、踏み出すたびに前後にグラグラ。落ちないように腕に力が入ります。

VR体験ができるコーナーには、体験用のゴーグルが4台。実際に体験できるのは10歳以上ですが、それより小さいお子さんでも見ることができるのが防災センターのすごいところ。
親御さんがVRで見ている場面と同じものがすぐ隣のテレビ画面(写真右)に映し出されるとのこと。家に帰ってからも、子どもと一緒に振り返りができそうです。

天気がよい日にはミニ消防車は屋外(入口横)に展示されます
入口近くには、制服体験コーナーがありました。
消防隊、救急隊のほかに、珍しい航空隊の制服も。サイズは110㎝〜大人サイズまであるので、親子での記念撮影も楽しめそうです。
私は防火服を着ましたが、着ている間は周りの音がほとんど聞こえませんでした。
炎から耳を守るためだと聞いて納得でしたが、だからこそ、災害時に隊員同士のコミュニケーションがうまくいくように日頃からの訓練が欠かせないと知り、敬礼。
大きな災害は、誰しも体験したくないものでしょう。想像したくもなくて、考えるのを避けてしまうこともあります。でも、いつかは必ず起こるもの。事前に擬似体験ができて、準備ができるなら、もしもの時の不安が減ります。
2025年12月13日(土)には、横浜マリノスとのコラボイベントを開催予定とのこと。防災デビューにはぴったりかもしれません。詳しくは以下のホームページでご確認ください。
https://bo-sai.city.yokohama.lg.jp/news/archives/106
横浜市民防災センターに出かけて、災害を知り、感じ、いざという時の知識を身につけてみませんか?
横浜市民防災センター
■住所:神奈川県横浜市神奈川区沢渡4-7
■電話:代表:045-312-0119
予約:045-411-0119
■開館時間:9:15~17:00
■休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌平日に休館)、12月29日~1月3日
■アクセス 京浜急行電鉄ほか「横浜駅」徒歩10分
※飲食スペース27席、キッズスペース(おもちゃ、絵本30冊以上)、授乳室あり
https://bo-sai.city.yokohama.lg.jp
Weavee地域ライター/松井 美智子