【横須賀】 「ドブ板コーバスタジオ」山上大輔さんが描くスカジャンの未来
2026.04.12
三浦

【横須賀】 「ドブ板コーバスタジオ」山上大輔さんが描くスカジャンの未来

小林有希

ライター

小林有希

  • #お土産

ドブ板通りのミシンに見る
横須賀“アート”の原風景

ドブ板通りに聞こえるミシンの音。それはオーダーメードスカジャン店「ドブ板コーバスタジオ」の山上大輔さんが店先で作業をしている音です。両手・足・膝を駆使して繰る特殊なミシンがつなぐ緻密な刺繍に、道往く人々はつい足を止めます。

スカジャンの刺繍は「横振り刺繍」といい、群馬県桐生発祥の伝統工芸です。かつてスーベニアショップで働く桐生の職人たちがスカジャンに施し、その技術が横須賀に伝わったとされています。

手工業を芸術に変えた、
大澤紀代美先生を師事

横振り刺繍は糸の方向を縦横に変えて重ねていくので、描かれた龍や虎は光を受けて躍動します。見る人は瞬く間に、刺繍が表現する世界に引き込まれるでしょう。

この技術は一朝一夕では手に入りません。山上さんは「ファースト商会」店主・松坂良一さんから基本的なミシン操作や横文字の入れ方などを学んだものの、複雑なミシン操作に苦心。そこで、横振り刺繍の第一人者である大澤紀代美さんの門下に入りました。

「大澤先生は横振り刺繍を手工芸から芸術に変えた方です。針の振り幅を活かしたグラデーションが特徴的で、作品は絵画にも彫刻にも見えます」

スカジャンを横須賀発祥の
アートへ。小さな芸術革命
運動のはじまり

横振り刺繍という表現方法を会得後、山上さんは「アートをもっと身近に」を理念に掲げ、スカジャンを文化芸術として広げるべく、独立・開業しました。

山上さんいわく、かつてパリ・モンマルトルにピカソなどが集まり、町の風景と芸術文化がともに醸成していったように、アートは地域の人々の体験と記憶が積み重なって育っていきます。

「スカジャンを芸術に昇華するには、まずは人々に身近に感じてもらい、感動してもらうことが大切。だから僕は、店先で刺繍を実演することを決めたのです」(取材当時、実演は一時休止中)

山上さんがミシンを繰る光景が、時とともにドブ板通りの景色となじみ、地域の誇りとして蓄積されていきます。そして人々が、横須賀のスカジャンと他の刺繍作品と比べて「価値の違い」を見出したときに、この“小さな芸術革命運動”が結実するのでしょう。

芸術家直筆の作品の代わりに
ポスターを購入するように、
既製スカジャンも

山上さんの活動を応援したい方や、まずは1枚スカジャンを手に入れたい、けれども良い図案が思い浮かばない方は、オリジナルスカジャン「ドブ板酔龍」(M~3L、3色展開、35,000円・税込)がおすすめです。

後身頃にはドブ板通りで飲み歩いて気持ちよくなり、顔を真っ赤にして踊りだした龍が刺繍されています。コンピュータ刺繍ながら、横振り刺繍の風合いを見事再現しています。ぜひお手に取ってみてください。

取材日 2025/1/17

横振り刺繍の特徴は立体感。針を横に振りながら縫うので、糸が重なった分だけ膨らみが生まれます。それが虎の勇猛な毛並みとなり、鷹が羽ばたかせる翼となるのです。
工房には横振り専用マシンがいくつも並びます。
「西の西陣、東の桐生」というように、群馬県・桐生市は、京都府の西陣と並ぶ高級な絹織物の産地として有名です。だからこそ、打掛や帯に施す横振り刺繍が生まれたのでしょう。
スポット情報

Dobuita Koba Studio

▪️住所:神奈川県横須賀市本町2-1
▪️電話番号:046-890-6041
▪️営業時間などの情報:11:00〜18:00
▪️定休日:水曜
▪️アクセス:京浜急行電鉄「横須賀中央」徒歩7分
▪️URL:https://www.instagram.com/dobuita_koba_studio/

この記事を書いた人

小林有希

ライター

小林有希

東京在住フリーライター/Web編集。2016年にアパレル企画兼バイヤーを辞めて、ライターに。 紙、WEB問わず企業PR、ファッション、アート、地域、建築、教育、働き方など多分野で執筆中。

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