【逗子葉山】千の背表紙 ひとつのページ|BOOK CAFÉ 麓と畔
2026.09.20
三浦

【逗子葉山】千の背表紙 ひとつのページ|BOOK CAFÉ 麓と畔

松井 美智子

ライター

松井 美智子

  • #アート
  • #カフェ
  • #グルメ

京急逗子線「逗子・葉山駅」南口を出て、10分ほど。なぎさ通りの一角に「BOOK CAFÉ麓と畔(ふもととほとり)」があります。

店内には、店主が長年にわたって集めた1500冊もの本が並んでいます。戦前の長屋を改装したというお店。穏やかな音楽が流れ、本と一緒に店主が厳選したコーヒーとケーキが楽しめます。

1500冊の本の中から一冊を選び、飲み物を傍らに過ごす時間。そこには、店主の本への思いと細やかな工夫がありました。

本棚に囲まれ 1冊と向き合う時間

店内の本は、ジャンルごとに4つの本棚に入れられています。「店主のおすすめ」「ノンフィクション」「フィクション」「音楽」の4つです。

1500冊もの本がある店内ですが、置かないようにしているというのが時事問題を扱った本。2年後、3年後に読んだときに違和感のあるようなものは、敢えて置いていないと言います。

「店内では、日常のわずらわしさを忘れてほしい」。そんな思いから、読後に気持ちが明るく前向きになるような本を中心に選んでいるそうです。

いつ訪れても心地よい読書の時間に浸れるような気遣いが感じられます。

壁側の席(写真右)にはWi-Fiとコンセントが完備

壁側の大きな本棚は、ノンフィクションの棚。店主手作りの本棚は、できるだけ多くの本が入れられるように5mm単位で棚の高さが調節されています。

建築や内装の仕事をしていた店主の経験が本棚の細かな作りに生かされています。高さ2mを超える本棚には、美術、デザイン、建築などの本がぎっしりと収められていました。

特にお勧めの4冊については、店主の解説シートも

道路に面した本棚には、店主がその時々に選んだ本が並んでいます。初めて訪れる人にとっても、新しい本との出合いを探す人にとっても、入口のような棚です。ジャンル問わず、店主の心に残った本が並べられています。

来店するたびに変わっているのも楽しみのひとつになりそうです。

カフェメニューがお盆に乗っているのは、
万が一こぼしても本が汚れない配慮なのだそう

店内では、ケーキとコーヒー(セットで税込1,000円)を本と一緒に楽しむことができます。コーヒーは注文を受けてから豆を挽くというスタイル。店主が常連だという逗子の大澤珈琲店にお願いして、オリジナルの「麓ブレンド」と「畔ブレンド」を作ってもらったそうです。

ケーキは「ニューヨーク・チーズケーキ」「バスクチーズ・ケーキ」「ザッハ・トルテ」の3種のうち、日によって2種を提供しています。この日いただいたバスクチーズ・ケーキは読書の合間に少しずつ味わいたくなる、落ち着いた甘さのケーキでした。

本棚を見つめる店主

メニューには、ビールやワインといったお酒もあります。

「自分が古本屋に行った後は、買った本をコーヒーかワインと一緒に楽しむのが好きでね。戦利品との大事な時間です」と話す店主。

自分と同じように、本と一緒にお酒を楽しみたい人もいるかもしれないとメニューに加えたのが始まりなのだとか。ハートランドビールや赤ワイン、白ワインと一緒に、大人の読書タイムが過ごせそうです。

本棚のあいだにある 店主の工夫

「ただ本を読むだけの場所にはしたくない」

本棚の隙間には、店主の趣味である電車の模型が置かれていて、ふと心が和みます。また、予備のお手拭きやペーパーナフキンなどには、かわいらしい動物の置物が添えられていました。

読書の合間にふと目に入る小さな置物に、店主の遊び心が感じられます。

京急線ユーザーで、鉄道が趣味だという店主

とはいえ、ブックカフェである以上は、快適に本を読んでほしいというのが一番。そのために用意されているのは「ブックスティック」と「しおり」です。

ブックスティックは、店主オリジナルのアイデアで、箸職人が作った木の棒に店主がビーズやボタンを付けたそうです。「これを作るために、初めてビーズ屋さんに行きました」と、はにかむ店主。

店内では、1人3本をセットにして貸し出してくれます。本棚から本を取り出した場所に差し込んでおけば、その時間だけの自分の目印に。本棚で揺れるビーズに光が当たって煌めいていました。

店主手作りのブックスティック

「しおり」は机に1つ、メニュー表と一緒に置かれています。日付、名前、メモなどを書いて、読みかけの本に挟んで使います。本に挟んだしおりは、次にお店に来る時まで、自分の居場所をそっと残してくれるようでした。

活字の海に 身をゆだねる

大きな本棚を眺められる席、自宅のようにくつろげるソファ席、Wi-Fiをつないで本と仕事に向き合える席…。今日はどの席でどんな本を読もうかと迷う時間から、ゆっくりと読書タイムが始まります。

店名の「麓と畔」の由来を聞いてみると、趣味の音楽関係から付けたそうですが、詳しくはヒミツとのこと。少しミステリアスな店主は、本の主人公のようでもありました。

なぎさ通りに面している店舗入り口
スポット情報

BOOK CAFÉ 麓と畔

■住所:〒249-0006 神奈川県逗子市逗子1丁目10-23
■営業時間:金~火10:30~17:30/L.O.17:00
■定休日:水曜日、木曜日
■アクセス:京急逗子線 「逗子・葉山駅」 徒歩10分

取材日 2026/08/13

※本記事に掲載されている情報は取材当時のものです。最新の情報とは異なる場合がありますので、お出かけの際は事前にご確認ください。

この記事を書いた人

松井 美智子

ライター

松井 美智子

モノの裏には想いがある。想いがあるからモノが生まれる。人間関係が希薄になりがちな今、人間らしさをお届けします。

私が大好きな場所や人を通して「京急沿線っていいな」「行ってみたいな」そんな思いが広がりますように…。

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