【佐島】布に恋をして。秋谷の風で仕上がるkamome worksのテキスタイル
2026.04.13
三浦

【佐島】布に恋をして。秋谷の風で仕上がるkamome worksのテキスタイル

小林有希

ライター

小林有希

三浦半島・秋谷にアトリエを構えるバッグブランド「kamome works」。デザイナー・塩崎めぐみさんはバッグづくりと並行して、「幼い頃から夢中になっていた」という布を自ら加工し、オリジナル・テキスタイルも制作しています。

職人の手で加工された綿、アンティークを思わせるリネン、海外の市場で見つかったプリント地など、これまでの布との一期一会の出会いは、塩崎さんの宝物。

布の背景にある機屋の職人さんの想いと物語に惹かれながら、自由な発想で染め上げ、ストール、ハンカチ、そしてバッグへと仕立てています。

全国を巡る
「布探しの旅」

「布が大好きなんです」と語る塩崎さんは、全国の機屋を訪ね歩くことをライフワークにしています。時間をかけて情報収集した末、見つけた機屋さんには直接足を運びます。ときには断られることもありますが、中には「小さく活動している私の話を聞いてくれる機屋さんがあるんです」と笑顔を見せます。

「分けていただく生地のほとんどは、ファッションやインテリアのブランドがオーダーしたオリジナル生地の試作反や機屋さんに余っている反物。でも、バッグ一つをつくるには十分な長さです」

塩崎さんは、ツルリとした整った表面感のものよりも、ごわっ、ざらっとした手触りの天然繊維の風合いを感じる生地に惹かれるようです。塩崎さんにとって布探索そのものが制作の一部であり、作品の原点となっています。

自由な発想で布を
「生地」へと変える

本業のバッグづくりは一点もののため、生地を大量に使いません。しかし一点ものだからこそ、素材にこだわりたいところ。

「本来オリジナル生地を機屋さんにオーダーすると、複数の反物ができてしまいます。でも布を手に入れて、こちらで加工すれば一点ずつ表情の異なるオリジナルの生地が完成します」

塩崎さんが一目ぼれしたタイプライター生地の反物は、染めた後に山からの強い風に当てて生まれた、シワや色ムラなど独特な風合いが特徴。これでバッグをつくると個性的な一品に仕上がるのだとか。

機屋さんから仕入れた布は加工業者に依頼し、ウォッシュ加工を施して色を落としたり、シワ感を出したりして、ヴィンテージ調の使い古したような風合いを出します。また、秋谷のアトリエでは塩崎さんが自ら染めることも。

「柿渋染めは、1ヵ月以上かけて繰り返し染めを行います。風にさらして乾かす際に、山と海、それぞれからくる風が面白く働き、色合いに独特な変化をもたらします。秋谷ならではの風土が布に染まっているみたいですよね」

ストライプやドットなどの模様を入れる場合は、ブラシで染め入れるのが塩崎さん流。偶然生まれたかすれ感、ずれも、あえてそのまま取り込むことで作品に奥行きを与えています。

渡り鳥のように、
作品とともに旅を続ける

中には、欧州産のアンティークリネン生地を研究して、現代の素材で再現しようとする機屋さんや、既に生産中止のシャトル織機を守りながら伝統的な生地を織り続けている機屋さんもあるという。

毎日をちょっと特別な存在にしてくれる塩崎さんの作品は、秋谷のアトリエや各地のギャラリーで出会うことができます。「kamome works」のブランド名にある“カモメ”は、幼い頃から海の近くで暮らし、身近にあった鳥が由来。渡り鳥のように作品を携えて全国を巡りたいという想いが込められているのだとか。

「好きだからこそ続けられるものづくりを大切に」

布に恋し、その出会いを糧にしながら、塩崎さんはこれからも制作と旅を重ねていきます。

取材日 2025/09/17

※掲載されている商品、価格、情報は取材時点のものであり、変更される場合がありますのでご了承ください。

二度と出会えない一期一会の布をバッグの蓋やハンカチに仕立てることで、特別感のある一点物が生まれます。
穴に通すだけでスカーフになるこちらは、夏場の日焼け対策に人気なのだとか。
手縫いでつくるバッグは、1点1点、生地を選びながらパーツを縫い合わせていくので、二つとしてないバッグが生まれます。
スポット情報

kamome works

▪️住所: 神奈川県横須賀市秋谷2丁目21−11
▪️電話番号: ー
▪️営業時間などの情報: ー
▪️定休日: ー(アトリエ開放時はInstagramで告知)
▪️アクセス: JR「逗子」より京浜急行バス「秋谷」徒歩3分
▪️https://www.instagram.com/kamomeworks

この記事を書いた人

小林有希

ライター

小林有希

東京在住フリーライター/Web編集。2016年にアパレル企画兼バイヤーを辞めて、ライターに。 紙、WEB問わず企業PR、ファッション、アート、地域、建築、教育、働き方など多分野で執筆中。

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