【現地レポ】心洗われる内観の旅へ。三浦半島・浄楽寺の宿坊「TEMPLE STAY KAN ~観~」で過ごす、清々しい非日常の時間
2026.02.22
三浦

【現地レポ】心洗われる内観の旅へ。三浦半島・浄楽寺の宿坊「TEMPLE STAY KAN ~観~」で過ごす、清々しい非日常の時間

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【現地レポ】心洗われる内観の旅へ。三浦半島・浄楽寺の宿坊「TEMPLE STAY KAN ~観~」で過ごす、清々しい非日常の時間

築120年の古民家を再生した浄楽寺(じょうらくじ)の宿坊「TEMPLE STAY KAN ~観~」が2025年11月28日にオープンしました。オープニングセレモニー内覧会で体感した心洗われるようなひとときと、特別な体験の数々をレポートします。

浄楽寺本堂

浄楽寺の収蔵庫には、国指定重要文化財である「阿弥陀三尊」「不動明王」「毘沙門天」の5体の仏像が安置されています。鎌倉時代の武士である和田義盛が自身の戦勝と一族の繁栄を願い、当時最高の仏師であった運慶に依頼して造らせた仏像が、今もここで静かに時を刻んでいます。

境内に入った瞬間、そこには凛とした清々しい空気が流れており、800年の時を超えて「武士の精神」に触れたような気分に。忙しい日常で少し疲れてしまった心を解きほぐし、じっくりと自分を見つめ直せる場所です。

清々しい静寂に包まれる宿坊「観(KAN)」

宿坊の外観

縁側から庭を望むと、風の音と鳥の声だけが響く、贅沢な空間が。
宿坊に入ると「い草」の懐かしい香りと共に、時間がゆっくりと流れるような感覚に包まれました。

思わず畳に寝転びたくなるほど清々しい室内
天井が高く開放感のある和室

築120年の古民家をリノベーションした一棟貸しの空間は、隅々まで手入れが行き届いており、和の空間の落ち着きを感じることができます。

いつまでも眺めていたい心落ち着く庭園

縁側に座って、手入れされた庭をぼんやりと眺めていると、自分の頭の中が、スッとクリアになっていくのを感じます。 ”日常を離れ、自然の中に身を置く”ということが、これほどまでに清々しく、贅沢なことだとは思いませんでした。

宿坊にはキッチンや洗濯機も完備されており、別荘で暮らすような滞在が叶います。 数日のリフレッシュ旅行はもちろん、地元の直売所で三浦の新鮮な野菜を買い込み、自分で料理を作って味わうのも楽しみの一つ。時計を外し、誰のためでもない、自分だけのために使う贅沢な時間。 短期の滞在も、人生を見つめ直すロングステイも。 日常の喧騒から離れ、何もしない贅沢を知る「大人の休息」が、ここにあります。

命への感謝が湧き上がる
「食」の体験

旅の楽しみといえば、やはりその土地ならではの食。 三浦半島の豊かな土壌で育った野菜や、近海で獲れた新鮮な魚介をふんだんに使った「食」を楽しむことができます。

命をいただく「三浦水軍寿司切り体験」

旬の魚の新鮮な味わいに感動「三浦水軍寿司切り体験」

宿坊のキッチンを活用した特別なワークショップも用意されています。 「クックバル葉山」の岩渕シェフを招いて行われるのは、地元の魚を自ら捌いて握る、本格的な寿司作り体験。プロの技を間近で見ながら、新鮮な魚の扱い方を学ぶ貴重なひととき。 包丁を握る緊張感の後は、自分で作った握り寿司を味わう至福の時間です。 

鎌倉時代の味の再現するため、「ゑかいひしを」という古代の発酵調味料が現代に蘇りました。これは三浦半島に自生する「ヌルデ(白膠木)」の葉を使ったもので、かつて塩が貴重だった時代に用いられたものです。

そのままでいただくと塩気が強いので、醤油とみりんを合わせた特製のタレを岩渕シェフが準備して下さっていました。お寿司につけて口に運ぶと、まろやかな塩味と発酵の旨みが広がり、新鮮な魚がさらに濃厚に感じられました。

800年前の人々も味わったであろう滋味深い発酵の旨みと、今この土地で採れた生命力あふれる素材は、美味しいを超えた深い感動がありました。

鎌倉時代の味を現代風に!
「浜浅葉イタリアン(ジビエ)」

三浦半島の旬の食材を使った絶品イタリアン

三浦半島の旬の食材を使う地元イタリアンレストラン「Loriga(ロリガ)三浦半島食蔵」の特別なディナーを予約することもできます。

和田義盛ら「三浦一族」の系譜に連なるとされる、浅葉家はこの地の由緒ある名家です。今回のコースは、その分家の浜浅葉家当主が幕末に記した日記『浜浅葉日記』を紐解き、当時の食文化を現代に甦らせました。日記には魚介類とは区別して「肴」という記述があり、これが猪や鹿を指していたという史実に基づき、メインには「丹沢ジビエ」を使用しています。

三浦名物・紅芯大根(べにしんだいこん)の鮮やかなピンク色や、太陽の恵みを浴びて旨みが凝縮された切り干し大根がお皿を彩ります。地元・佐島でとれた脂の乗った旬のカンパチはカルパッチョで出されました。

三浦半島の豊かな自然素材を、洗練されたイタリア料理の技でいただくことができます。
季節によって、素材や料理が変わるので、どのタイミングでも「旬」の味を楽しめます。

ここでしか体験できない様々なプログラム

涙が出るほど心洗われる
仏師運慶作仏像(国重文)拝観

「暗闇参り祈願法要」は神秘的な雰囲気に包まれます

仏師の運慶は、平安時代の終わりから鎌倉時代のはじめにかけて活躍した日本彫刻史上屈指の名匠です。運慶の真作とされる仏像のうち、5体が浄楽寺に安置されています。

浄楽寺の阿弥陀三尊像、不動明王像、毘沙門天像は、運慶の初期を代表する作品で、量感に富んだ肉体表現が見事です。また、水晶をはめ込む「玉眼」や、底をあえて彫り残すことで仏像内に納められた納入物を守る「上げ底式内刳り」など革新的な技法が初めて用いられた作品としても知られています。

宿泊者はこれらの仏像が安置されたお寺で、鎌倉時代の参拝を再現した「暗闇参り祈願法要」も無料で体験できます。

浄楽寺運慶仏についての解説の後、ろうそくの光に照らされた運慶作の仏像を拝顔し、読経と諸願成就祈願を行います。照明を落とした収蔵庫の中、頼りになるのは揺らめく蝋燭の灯りだけ。暗闇の中で目を凝らすと、仏様の穏やかな表情や力強いお姿が、まるで生きているかのように浮かび上がってきます。800年前の武士たちも、こうして孤独や不安と向き合い、祈りを捧げていたのでしょうか。

静寂の中で仏様と向き合っていると、不思議と自分の内面にある悩みや迷いが整理され、心洗われるような感覚になりました。

  • 料金:2,500円(宿泊ゲストは無料)
  • 所要時間:約30分

己と向き合い、
無心になる体験プログラム

「TEMPLE STAY KAN ~観~」の真骨頂は、運慶や武士たちに倣(なら)い、自分自身を見つめ直すための「修行(マインドフルネス)」体験です。

写経修行 ~運慶の祈りをなぞる~

写経修行の様子

お経を一文字ずつ書き写す「写経」は、もともとは仏教の教えを広めるため、あるいは修行として行われてきました。「祖先の供養」や「自己の功徳」を願うものとして親しまれてきましたが、その意味合いは少しずつ変化しています。

情報過多な日常から離れ、一心にお経を浄書(清書)する時間は、乱れた心を静める「マインドフルネス」の時間そのもの。 自分自身を見つめ直す、心のデトックスとして取り組む人が増えています。初めて筆を持つ方にも、心のリセットをしたい方にもおすすめの体験です。

ここで体験できるのは、「運慶願経奥書第8巻」に倣った本格的な作法で行われる特別な写経です。 「阿弥陀経」というお経の一部と、「陀羅尼(だらに)」を丁寧に書き写します。最後には満月を表す円に浄土の蓮を描き、中心に仏を表すサンスクリット文字を記す心月輪を清書します。

  • 料金: 5,000円(宿泊ゲストは無料)
  • 所要時間: 約90分

彩色修行 ~自分だけの護身仏を~

各修行体験では丁寧に教えてくれます

木彫りの小仏に、専用の絵具で自分の願いや想いを色に乗せていきます。
無心になって筆を動かしていると、雑念が消え、心が穏やかになっていくのを感じます。

完成した仏像は、世界に一つだけの「護身仏」として持ち帰ることができます。

  • 料金: 15,000円(宿泊ゲスト特別料金 10,000円)
  • 所要時間: 約120分

彫像修行 ~一刀に祈りを込める~

彫像修行体験

一刀ごとに祈りを込めて小仏を刻む彫像体験です。 仏師が作った仏像に衣のひだや蓮台に彫刻した後で彩色を施し、自らの仏像を作り上げていきます。木を削る音だけが響く静寂の中で、徐々に出来上がる感動は言葉になりません。鎌倉時代の武士たちも信仰を託しながら、仏像をこのように作っていたのかと思いを馳せます。

完成後は護身仏として持ち帰ることができます。

  • 料金: 20,000円(宿泊ゲスト特別料金 15,000円)
  • 所要時間: 約150分

バーチャル運慶発願体験

VRゴーグルをつけて体験します

アナログな体験とは対照的に、最新技術を使った体験にも驚かされました。
VR運慶発願体験では、浄楽寺が誇る運慶作の仏像を3Dスキャンし、バーチャル世界で再現。 VRゴーグルを装着すると、目の前には運慶が仏像制作に込めた熱い「志」や、発願者である和田義盛の切実な「願い」が表現された世界が広がります。先人たちの強い想いに触れた後、体験の最後には「自分自身の願い」を立てること(=発願)ができます。 

和田義盛や運慶の祈りと現代の自分の祈りがリンクする瞬間はきっと想像以上の体験ができることでしょう。

どの体験もはじめに、身を浄める「塗香作法」「心を整える瞑想」を行います。
昔から信徒たちは、自身の願いが仏様に届くように、小さな仏像や自ら書いた写経を仏像の「胎内(体の中)」に納めていました。

この古来の風習を現代の技術で再現し、最後には「バーチャル奉納」まで行います。 心を込めて書き上げた写経や作り上げた小仏はデジタルデータとしてスキャンされ、バーチャル空間上に再現された運慶仏の胎内へと奉納します。800年前の人々と同じ祈りを、最先端の技術で届ける。 過去と未来が交差する、浄楽寺ならではの特別な体験です。

明日への活力を養う
「内観」の旅

秋の浄楽寺。木々の彩りが美しい。

内覧会を終えた時には、来る時よりも不思議と足取りが軽く、心に涼やかな風が吹き抜けていくようでした。日常から離れ、ただ静寂の中に身を置く。 そして、普段は聞こえない自分の心の声に耳を澄ます。

そんな「自分自身と深く向き合う時間」こそが、私たちがいま一番求めている、本当の意味での「休息」なのかもしれません。三浦半島の豊かな自然を愛でる喜びはもちろん、心身の澱(おり)を流してリセットしたい時、あるいは道に迷い立ち止まりたい時。 ぜひ、「TEMPLE STAY KAN ~観~」を訪れてみてください。 ここでのひとときは、きっと清々しい明日へと歩き出すための、柔らかな活力を与えてくれるはずです。

TEMPLE STAY KAN ~観~

■住所: 〒240-0104 神奈川県横須賀市芦名2-30-5(浄楽寺境内)
■アクセス:
京急逗子線「逗子・葉山駅」またはJR横須賀線「逗子駅」よりバス。
「大楠芦名口」行き等に乗車し、「浄楽寺」バス停下車すぐ。
 ※バスの所要時間は約20〜30分ほどです。
■予約:公式サイトより完全予約制

■スポット情報:https://newcal.jp/spot/A000149

Weaveeライター/うみのとなり

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