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横浜市の上大岡でママクリエイターのコミュニティ「京急つながりmama」を運営する池田真美さん。

神奈川県横浜市港南区に位置する京急上大岡駅エリア。子育て世帯やシニア世帯が多く暮らすこのまちで、ママたちの特技を生かして「地域の3世代交流」を目指す人がいます。

今回お話を伺ったのは、上大岡エリアを中心に、ハンドメイドやワークショップのマルシェを開催している『京急つながりmama』の代表・池田真美さん。自身の活動の目的や、京急沿線子育てネットワーク『Weavee(ウィービー)』、隣駅、屏風浦エリアのまちづくりコミュニティ、『風浦駅前の“ソト”を空想するカイギ』への参加についてお話ししていただきました。

出発点は、“ママの壁”。「子育て女性が夢を語り合える場を」

出産をきっかけに、それまで暮らしていた横浜市泉区から、港南区の上大岡エリアに越してきた池田さん。

池田さん「地元の北海道に帰りやすい『羽田まで30分』の立地や、暮らしやすさに魅力を感じて、上大岡
エリアを選びました。住んでみると予想通りアクセスは良いし、駅前に行けば百貨店などの大型の商業施設から商店街まであって、なんでもそろうのも便利ですね。子どもの習い事も、選択肢が多すぎて悩むくらいでした」と、教えてくれます。

そんな池田さんがハンドメイド作品の販売に興味を持ったのが、およそ8年前の2016年ごろ。

池田さんは、ロゼッタを使った小物やアクセサリーをハンドメイドで製作しています。

池田さん「子どもが幼稚園に入って子育てが少し落ち着いて、自分で作ったハンドメイド作品を各地のハンドメイドイベントに出店し始めたんです。でも、大きなイベントに参加しようと思うと、都内まで遠征することも多くて……。地元のハンドメイド仲間と、『近場でやれたらいいのにね』と話すうちに、自分で動いてみようと思ったのがきっかけでした」

場所作りを実現するには、まず知識と仲間が必要だと感じた池田さん。さっそく、区民センターで募集している区民主催の講座に応募し、地域のママたちが自分の趣味や特技を生かして活躍するための「ママクリエイター講座」をプロデュースしました。

池田さん「ハンドメイド作品の撮影方法や、SNSでの発信方法、自分の持っているスキルで地域を盛り上げる方法など、各分野のプロの方に来ていただいて、自分自身も勉強しながら、『地域でなにかやりたい!』という思いを持っているママたちとどんどんつながっていきました」

区民センターで実施した「ママクリエイター講座」には、子育てしながら輝きたいという夢を持つママ達が集まりました。

講座の回数を重ねるにつれ、池田さんが感じたのは、「『ママ』という属性の壁」だったと言います。

池田さん「心の奥底には『行動したい!』という気持ちがあるのに、『ママは家のことや子どものことに専念すべきでは?』『趣味で満足しているほうがいいかも』と、多くのママさんが一歩踏みだす勇気を持てずにいました。講座を開催し、ママ同士がつながりを持てる場所を作ったことで、お互いの夢を口にし合えるようになったと言っていただけました」

ママクリエイターたちの力で、3世代がつながるまちに

講座を通して得た知識や人脈は、池田さん自身を突き動かすアクセルにもなりました。「子育てしている女性たちが、自分のスキルで一歩踏み出して、地域を盛り上げるきっかけを作れたら」。

年4回、ビエラ蒔田で行われるマルシェでは、多様なスキルを持つママ達が出店します。

そんな思いで立ち上げたのが、地域で活動するママクリエイターのコミュニティ、『京急つながりmama』。上大岡のママたちが自分たちのスキルを生かして出店するマルシェを年4回、駅前複合商業施設の『ビエラ蒔田』で企画・開催しています。

池田さん「始めてから3年経つマルシェの企画は、地元の人にも根付いてきたと実感します。私が特にうれしく感じているのは、世代を超えた交流が地域に生まれていく様子。もともと『京急つながりmama』は、ママにフォーカスした団体ですが、今後は『地域の3世代交流』を目標に掲げ、シニア世代の出店者を増やしたり、子どもが主役になるような出店を企画したりしたいですね」

その一部が実現するのが、2024年の秋に開催を予定している「ハロウィンマルシェ」なのだそう。

池田さん「お子さんたちが自分で企画・運営するブースを実験的に出店する予定なんです。もともと、『京急つながりmama』のマルシェには、お子さんと一緒に出店するママさんも多くいらっしゃいました。特性があったり、登校できなかったりと、普段は人と関わるのが苦手なお子さんも、ママの隣ならお店の手伝いをしたりお客さんと会話できたりしている。そんな様子を見て、マルシェがママだけではなく子どもたちにとっても、もっと地域とつながれる場になればいいなと思ったんです」

子どもも参加できるロゼッタのワークショップは大人気。

居場所のない子どもたちや、やりたいことを諦めているママ、孤立するシニアが社会問題になっているいまだからこそ、ママたちが中心となり、子ども、ママ、シニアの3世代が和気あいあいと交流するまちづくりを実現したい。『京急つながりmama』という名前には、池田さんのそんな思いが込められています。

他団体とのコラボを通じて、コミュニティ運営を学びたい

2月に開催された『Weaveeマルシェ』でも、ロゼッタのワークショップを出店しました。

池田さんは1年ほど前から、京急沿線のママクリエイター団体が連携して新しい地域ビジネスを創出する、子育て応援ネットワーク『Weavee(ウィービー)』に『京急つながりmama』の代表として参画しています。

2024年の2月に横浜市役所で行われた「こどもまんなか京急沿線フェスタ」では、『 Weavee(ウィービー)』に所属する20団体が集結した『Weaveeマルシェ』を開催。『京急つながりmama』も、参加団体のひとつとして出店しました。

さらに、24年の8月1日に上大岡の京急百貨店で開催される、2回目の『Weaveeマルシェ』は、池田さん自身が実行委員の1人となって参加団体を取りまとめます。

上大岡の京急百貨店で開催したマルシェは、池田さん(後列左)が実行委員のひとりとして先導しました。

池田さん「最初は、これだけ多くの多彩な団体を取りまとめることに不安がありましたが、これまでとは異なる規模のイベントを経験したことは、私たち『京急つながりmama』にとっても大きな糧になりました。また、参加したママコミュニティは、多様なスキルを持つメンバーを抱えているので、準備や告知をお互いにフォローしあえたのもよかったですね。特に告知面では、メンバーそれぞれがSNS使って互いにフォロー・拡散したことがしっかりと集客につながりました」

池田さんの目下の目標は、京急電鉄とともに『Weavee(ウィービー)』を立ち上げた、『株式会社わたしたち』とのコラボレーションです。

池田さん「今後、シニアや子ども達を巻き込んで活動していけば、イベントの規模も大きくなるし、コミュニティの運営方法も変えなければいけません。すでに複数の団体をとりまとめ、大規模なイベントを運営している『株式会社わたしたち』であれば、そうしたノウハウをお持ちなので、ぜひ何らかの形でコラボし、学ばせていただけたらと思っています」

屏風浦カイギでは、多様なメンバーが駅前の活用法を話し合います。

つながりを通してより大きな学びやつながりを得て、自分たちのまちづくりに還元していくのが、池田さんのスタイル。

昨年(2023年)秋からは、上大岡駅の隣、京急屏風浦駅で進行しているまちづくりコミュニティ「屛風浦駅前の“ソト”を空想するカイギ」にも参加し、屏風浦エリアの住民や有識者とともに、屏風浦駅に設置されたトレーラーハウス、『タイニーハウス』の活用・運営を話し合ってきました。

池田さん「まちづくりに1から参加したことで、人が集まり、駅前が変わっていく様子を目の当たりにすることができました。屏風浦のすてきな方々とつながれたことで、お互いの活動によいシナジーを生めるんじゃないかとワクワクしていますね。実際に、私たちのマルシェにも何度か、屏風浦で営業している米粉のシフォンケーキの『May Wind』さん、焼き菓子とケーキお店の『パティスリーアレ』さんが参加してくれています。今後、タイニーハウスがオープンしたら、『京急つながりmama』もワークショップや出店に駆けつけたいなと思っています」

屏風浦駅前に設置したタイニーハウスを、地域の子ども達とともにペイント。池田さんも参加しました。

「地域の3世代交流」という大きな目標に向かい、一歩一歩着実に歩みを重ねている池田さん。いま、「地域のために何か行動したい」と考えている人に向けて、こんなアドバイスをしてくれました。

横浜市の上大岡でママクリエイターのコミュニティ「京急つながりmama」を運営する池田真美さん。
池田さん「まちづくりには、いろんな方の力が必要です。自分1人じゃ何もできないと思っても、やりたいことを口に出してみてください。どんなに大きな目標でも、口に出し続ければ必ず聞いている人がいて、ご縁がつながっていきますから」

やさしい笑顔とポジティブな言葉を持つ池田さん。今後もそのあたたかい人柄であらたな「つながり」を育み、上大岡のまちをにぎわしてくれることでしょう。