駅前からの時間旅行!暑さ忘れるレトロカフェ2選
灼熱の太陽、体にまとわりつくような熱気…。暑い夏の空気を想像しただけで、気持ちが重くなってしまいそうです。
そんなとき、涼しく、しかも昭和レトロな雰囲気に癒される空間があったらステキだと思いませんか。
今回ご紹介する2店はどちらも最寄り駅から徒歩0分。電車を降りて、暑さを感じる前にレトロな癒し空間へ。どんなお店なのか、さっそくお邪魔してきました。
珈琲へのあふれる愛情。豆の持ち味を最大限に生かす「カフェムジカ」
京浜急行電鉄「青物横丁駅」の改札を出て、階段をくだると目の前に見えるのが珈琲専門店「カフェムジカ」。「ムジカ」とはスペイン語で「音楽」という意味だそうです。それを物語るように店内にはゆったりとした音楽が流れ、落ち着く空間になっています。

レトロ喫茶のランチってどんな感じだろう。気になった私は勇気を出してお店に入ってみました。店に入ると、笑顔で出迎えてくれたのは店主。黒いシャツがお店のカウンターとよく合い、とても品よく見えました。

さっそくメニューとにらめっこ。シーフードドリアやパスタセット、ハンバーグサンドなど、魅力的なランチセットが並ぶ中、私はミートドリアのセットを頼みました。サラダのドレッシングはさっぱりとしていて、濃厚なドリアソースとのバランスが絶妙です。

12時を過ぎるころには店内は満席に。それでも、コロナ禍以降、お客さんが減ってしまい、閉店時間を早めたと残念そうに話す店主。「一人でも多くの人にうちの珈琲を味わってほしいんだけど」とぽつり。店で客を待つもどかしさを感じているのかもしれません。

つい手が出てしまうお手軽価格のミニデザートは、私が食べたチーズタルトの他にチョコブラウニー、フロランタンもありました。
お店で提供している珈琲は、豆によって「ボイルド方式」「ネルドリップ方式」「サイフォン方式」「ペーパードリップ方式」と抽出の方法を変えているこだわりよう。コーヒー豆に合った最高の方法で抽出し、その豆の良さを最大限に引き出して提供されていることが、ひしひしと伝わってきます。
そんな店主のこだわりの最高峰が「カップオブエクセレント」のコーヒー。「カップオブエクセレント」とは、年に一回開かれるコーヒーの品評会で、その年に丹精込めて育てられた至極のコーヒーたちが集まる大会のような場所です。そこで「これだ!」と思ったコーヒーを落札してお店で出しているとのこと。値段や量は年によりさまざまで、一杯700~1800円ほど、早ければ3、4か月でなくなってしまうそうです。その時だけしか味わえない特別な一杯。たまのご褒美にいいかもしれませんね。

店オリジナルのコースターには「coffee for coffee lovers(珈琲愛好家のための珈琲)」の文字が。このコースターと一緒に運ばれてくるコーヒーは、なんだかとても誇らしげに見えました。
店主のこだわりの詰まったコーヒーを落ち着いた空間でいただくと、心が研ぎ澄まされていく感じ。のんびりとおいしいコーヒーを飲んでいたら、いつの間にか暑さを忘れていました。
珈琲専門店カフェムジカ
住所:東京都品川区南品川2-4-1
電話番号:03-3474-7213
営業時間:7:30~18:00 土曜日8:00~18:00 祝祭日11:00~18:00
※土・祝祭日は売り切れ次第終了
定休日:日曜日
アクセス:京浜急行電鉄「青物横丁駅」すぐ
青物横丁駅 世界のコーヒーを愉しめる珈琲専門店 「カフェムジカ」
息子愛、客愛あふれる昭和のママさん!珈琲専科「樹根巣」
京浜急行電鉄「戸部駅」の改札を出るとすぐ、右手に見えるのが珈琲専科「樹根巣(じゅねす)」です。前の店主が40年以上経営したのち、2017年に今の店主が引き継いでから早8年。前の店主から引き継いだのは場所と店名で、メニューや店内装飾は一新されています。
店名となっている「樹根巣」はフランス語で「若者」という意味だそうです。


私が来店したのは平日の14時過ぎ。ランチに来た客は落ち着き、カウンターに男性がひとり、テーブル席に女性2人組が3組いました。時間の流れがのんびりとした店内で、何度か来ていると思われる客と名前で呼び合っていたのが印象的。西村さんはひとりひとりのお客さんを大切にしている様子がうかが
えました。

横浜では数店舗しか味わえないという「フラットホワイト」。カフェラテやカプチーノと見た目は似ていますが、ミルクフォーム(泡状のミルク)を使っていないので、コーヒーの味をダイレクトに感じることができるとのことです。混ぜ合わせているのは、エスプレッソと蒸気で温めたミルクのみ。
さっそくいただいてみると、しっかりとした苦みの中に優しいミルクの味わいが広がります。「ガムシロップはいらないわよ」というのが納得の味でした。
小倉トーストに使っているパンも店主のこだわり。「実家がパン屋だったので、パンの味にはうるさいの」と話す。厚さは約4.3cm。スーパーで売っている6枚切り食パンの2倍以上です。その存在感にビックリしたものの、食パンには田の字の切れ目が入っているので、カリッとした部分とふわっとした部分のバランスが絶妙。途中で塩をかけてみると、あんこの甘さが際立って、これもまた癖になります。ペロリと食べてしまいました。

店で使っている牛乳やクリームは全て中沢乳業のものです。扱っている店が少ないので入手が難しく、また、他社の牛乳と比べて高価ですが、味には代えられないと考えて、使うことを決意した店主。「味見をしておいしかったからね」とにっこり。コーヒーと並んで、ミルクも味わう価値ありです。

メニューの中には、バナナジュースやツナトースト、ケチャップなしのホットドッグなど、息子さんのために開発をしたメニューがたくさんあります。
「隠し味、分からないでしょ?」と話す西村さんはとても楽しそう。
帰り際に「また来てくださいね」と言われた私は、思わず「はい!」と答えていました。それは、きっと店主のあふれる愛が心地よかったからに他なりません。
珈琲専科 樹根巣
住所:神奈川県横浜市西区戸部本町47-8
電話番号:045-324-0673
営業時間:7:30~19:30
定休日:日曜・祝日
アクセス:京浜急行電鉄「戸部駅」すぐ
今回私は、2軒のレトロ喫茶を訪れ、堪能させていただきました。建物がレトロだというハード面だけでなく、店主のこだわりや思い出などソフトな面が時と共に重なっていくからこそ、そこが居心地のよい空間になっているのかもしれません。
毎日暑くてうんざりしてしまいそうな日々が続きますが、レトロ喫茶を訪れ、「ホッと一息」の時間を作ってみてはいかがでしょうか。