駅近の運河で水上散歩してみない?横浜の京浜運河で涼を感じるSUP体験!

猛暑に悩まされる夏、海に行くのは少し億劫だけど、水辺で涼を感じることができたらいいなぁという気分になることはありませんか?今回は日ノ出町駅から徒歩4分で楽しめるSUP(サップ:スタンド アップ パドルボードの略)をご紹介します!

SUPというと、海や湖などの大自然の中で行うイメージが強いかもしれませんが、横浜では運河でも楽しめます。運河とは人工的に作られた水路のことで、大岡川も運河のひとつです。実は、海でのSUPに比べて、運河でのSUPは波がなく、海風もさえぎられるので、初心者にぴったりなのだとか。そうと知ってさっそく、人生初の運河SUPに挑戦してきました。今回取材をした大岡川、京急沿線で運河SUPができる2店舗も紹介します。 

水辺環境をもっと身近に!水辺荘

2012年創業の水辺荘。ゲストハウスだったこの場所を転用して、2024年にお店を移転してきました。下は10歳から上は70代まで、SUP参加者の年齢層は幅広いのだそう。バランス感覚が必要なSUPは、年齢というより普段どれだけ体を使っているかの方が重要だと話す代表の山崎さん。ここだけの話ですが、「テレワークで運動不足の若者より、毎日運動しているお年寄りの方が漕げたりするので、そこがまた面白いところ」だそうです。

京急の高架下にお店を構える水辺荘。桟橋まで20歩という近さが魅力的な立地です
水辺荘代表の山崎さん。もっと水辺と親しくなる人を増やしたい、と熱い思いを語ってくれました

昔の横浜の地図を見ながら「古い運河が残っていたら、この地域のSUPはもっと面白かったのに。いろいろな歴史的な背景で、いくつもの運河が埋められてしまったのが残念です」と話す山崎さん。一方で、「出かけた先の日本中、世界中の運河でSUPを楽しめるのが、習得した人の特権」と語る顔はほころびます。

会員による早朝SUP。人の少ないみなとみらいを走り抜ける快感はクセになります。(写真提供:水辺荘)

水辺荘では、年間を通して日常的にSUPを楽しんでほしいという思いから、月5000円で乗り放題というお得な会員制度(入会条件あり)も実施しています。会員は現在45人ほどで、日によってテーマを決めて、日常的にSUPを楽しんでいるのだそう。初心者のレベルアップを目指したり、レースの練習をしたり。ときには、ぐるっと回って横浜駅まで行く日もあるのだとか。早朝や夏の夕方といった体験SUPを実施していない時間に会員だけでSUPを楽しむ特別な時間です。

始めたばかりのドッグSUP。日本ドッグサップ協会公認のインストラクターが愛犬とのSUP時間をコーディネート(写真提供:水辺荘)
毎年人気のお花見SUP。このときはmegaSUP(メガサップ)という通常より大きくて安定性のああるサップボードを使います(写真提供:水辺荘)

異業種とのコラボ企画として、不定期でクラブハウスで着付け教室を開催。毎年桜満開時に開催しているmegaSUPによる「お花見水上茶会」ですが、2025年は着付けの先生とのご縁を生かして、レンタル込みの着付けサービス(6600円)を実施したそうです。

もっといろいろな楽しみ方で水辺と親しめるよう常に考えている山崎さんですが、水辺荘立ち上げのときの仲間が始めた横浜市役所のウッドデッキ「大岡川夢ロードデッキ」での活動も応援しています。

2004年に作られたこのデッキを「市民と水辺をつなぐ場」として活用したい。そんな思いで2015年に「大岡川夢ロードデッキサポーターズ」を結成しました。月に一回の川の掃除、カヤックやmegaSUP体験(不定期)、水中の生き物の観察といった時間を通して、多世代で川に親しんでいます。

水辺荘での活動とは別だけど、思いは同じ。市民にとって川がより身近な存在になるよう、これからも水辺荘と共に、山崎さんの活動は続いていくでしょう。

水辺荘

住所 神奈川県横浜市中区日ノ出町2-166

電話番号 090-8302-4897(代表 山崎さん携帯)

営業時間 7:30~20:00(不定休)

アクセス 京浜急行電鉄「日ノ出町駅」徒歩4分

【公式】水辺荘 | 横浜みなとみらいと大岡川を中心としたSUPツアー

”横浜でのSUP”は当たり前じゃない!今、ここにいる感謝~横浜SUP倶楽部

京浜急行電鉄「日ノ出町駅」から歩いて4分。同じく京急の高架下に店を構える横浜SUP倶楽部。今では年間1000人以上が訪れているこのお店も最初からこうだったわけではありません。

2017年に現在の場所に移転してから、横浜SUP倶楽部の「地域溶け込み作戦」が始まりました。地域とつながりたいという思いはあったものの、にぎわいを作りすぎると地域に迷惑をかけることにもつながるかもしれないと、移転当初からお店の在り方を考えていた代表の柿澤さん。

そんな折、自分たちが使う場所だからという理由で、川のごみ拾いをしていたことが思わぬ糸口となりました。柿澤さんたちがごみ拾いをしている姿を見ていた地域の方々から、感謝を伝えられることが増えていったのです。それからというもの、柿澤さんはまちのイベントがあれば積極的に参加して、地域の方と地道に関係をつくり続けました。

「その積み重ねがあって、今がある。当たり前のことじゃないから、それは下の世代にも伝えていかないと」と優しいまなざしの中に使命感をのぞかせる柿澤さん。桟橋をキレイにしようと、デッキブラシで8時間磨いたことも、今となっては大切な思い出の一部だそう。

横浜SUP倶楽部代表の柿澤さん
京浜急行電鉄の高架下にある横浜SUP倶楽部。長さ14フィート(約4.3m)もあるレース用SUPを立てて収納できるのが高架下のよさだそう

初めてでもできる!勇気を出してSUP体験

今回、私のSUP初体験を支えてくれたのは、インストラクターの川端さんです。

インストラクターの川端さん。手にしているのは1人用サップボード。一番奥は10人乗れるビッグサップボードです

川端さんは横浜SUP倶楽部に所属しているインストラクターのひとり。18歳のときにアルバイト募集のお知らせを見て、すぐに応募したのだといいます。SUP経験がゼロでアルバイトに応募したというから驚きです。見事合格してからというもの、朝晩と自主練習を繰り返し、昼にはお客さんとのコミュニケーションを学んできたそう。私が訪れた6月は川端さんがSUPを始めて5年。とても頼りがいのあるインストラクターさんでした。

「今、ここでSUPができることが幸せ。地域がSUPをやることを理解してくれることが幸せ」と語る純粋でまっすぐな柿澤さんの元に、今日も明るく元気なSUP仲間が集っています。

そして、一緒に初めてのSUPをしたのは、この日が妻の誕生日だという30代の夫婦。「やったことがないことをしてみたい」という妻の願いを聞く形でサプライズSUPを企画した夫。果たして、3人の初挑戦はどうなることやら…。不安と期待が入り混じったスタートでした。

濡れていい服にライフジャケットを着たら、出発前に記念撮影。幅3m程の道路を渡るだけなので、靴はなんでもOKです

「スタンドアップパドルボード」ですが、初めての人がスタートしていきなり立つのは危険とのことで、座った状態や立てひざの状態でSUPのバランスに慣れていきます。 私の感覚ですが、各駅停車の電車内で吊革につかまらずに立っている、そんな感じのバランスです。※車内では安全のために吊革や手すりにおつかまりください。

コースには7つの橋がかかっています。橋の下をくぐるのはちょっとスリリング。遊園地のアトラクションのようです

「大岡川の水は汚いのでは?」という声を聞くことも多いそうですが、それは誤解。緑色に見えるのは植物プランクトンの色だそうです。そのプランクトンを食べに来るクロダイやスズキ、水質を浄化してくれるカキがたくさん住んでいます。定期的な水質検査もしているそうで安心です。

私がSUPを体験した日はミズクラゲがいました。「落ちたら刺されて危険じゃないですか?」と心配する私たちに「毒はほとんどないし、食べられるんですよ」と笑って教えてくれた川端さん。実は大岡川に対して誤解していることがたくさんあるのかもしれません。

ランドマークタワーの前で記念撮影。写真はインストラクターの方が撮ってくれて、終了後にデータをくれます

初めてのSUPだと落水が気になるところですが、私自身は落水せずに帰ることができました。そうなると、体験後のシャワーも不要ですぐに帰れるため、一気にスポーツの手軽さも増します。実際に落水する方は初体験の方の1割ほどだそうです。「夏には、わざと落ちるのも気持ちいいんですよ」と話す川端さんの笑顔が印象的でした。

横浜SUP倶楽部

住所 神奈川県横浜市中区日ノ出町2-166

電話番号 090-3502-2701(代表 柿澤さん携帯)

メール supyokohama@gmail.com

営業時間 7:30~20:00(不定休)

アクセス 京浜急行電鉄「日ノ出町駅」徒歩4分

【公式】横浜SUP倶楽部 – 『横浜でサップしたい』初心者でも安心、みなとみらいSUP体験ツアーを毎日開催!気軽に楽しく、大都会で水上散歩!

横浜の京浜運河でのSUPは、沿道を散歩する保育園児やお年寄りの方が手を振ってくれて「まちに溶け込むSUP」であるように感じました。また、漕ぐたびに周りの景色が変化するので、飽きずに楽しみながら、あっという間の2時間でした。自分で漕ぎながら無我夢中で進み、ランドマークタワーが見えた時の達成感も何とも言えません。

みなさんも水上からの景色を楽しんでみませんか?

Weavee地域ライター/松井 美智子