京急本線「能見台駅」を降りてバス通りの坂をのぼりきったところに、お米を楽しむお店「musubi(むすび)」があります。
店を支えているのは、ひとつの家族です。母娘がそれぞれの得意分野を持ち寄って協力しながらできた結晶が「musubi」。
店内では、米粉を使ったパンやクッキーなどを販売しています。musubiの商品は家族のぬくもりを感じ、どこか懐かしい雰囲気。手に取ると、肩の力がふっと抜けるようでした。

店舗入り口
お米は楽しい
お店を営んでいるのは、店主と2人の娘さんです。木目調の店内には食パンや総菜パンが並んでいます。
9時にお店がオープンする時に食パンから焼き上がり、全て揃うのはだいたい午前10時過ぎ。レジカウンターの奥では、せっせとパンを焼いています。朝早くに来店すると、お店の中に、ほんのり甘い米粉の香りが漂っていました。

利用しています
musubiのパンは全て、粉類は小麦粉を一切使わず米粉100%で作られています。
「米粉でパンを作るのは難しい」と話すのは、レシピを考える妹さんが試行錯誤する姿をずっと近くで見てきたお姉さん。妹さんは米粉と他の材料との配合を考えながら、しっとりモチモチのパンをつくり上げました。その過程では、元栄養士としての経験が役立ったと言います。

コーヒーと黒豆(ハーフ税込380円)、
きんぴら(税込270円)
黒豆やきんぴらごぼう、海苔といった和の食材を使ったパンが多いのもmusubiならでは。
musubiの米粉パンは、お総菜とよくなじみます。そういえばご飯とおかずを一緒に口に入れることもあるなぁと普段の生活をふりかえり、その相性の良さに納得です。

一方、米粉クッキーは、モチモチのパンとは対照的な食感です。サクサクほろりと、口の中で柔らかくほどけます。米粉という同じ素材から、ここまで違う食感が生まれることに驚かされます。
食べ終えた後には、バターの余韻が口の中に静かに広がっていました。
食べて 労わるtotonopa
これまでのパンやクッキーなどに加えて、musubiが2026年夏から始めた新シリーズが「totonopa(ととのぱ)」です。このパンを食べることで、体や心を少しととのえるきっかけになれば。そんな、日々の食事にそっと寄り添う提案が込められています。
「ととのえパン」でもなく「ととのパン」でもなく、あえて不完全な「totonopa」としたのは、ととのうから絶対にこれを食べてほしいという強い思いではなく、食べるものを選ぶ時の選択肢の一つとしてゆるく届けたかったからということ。

(税込360円)
totonopaの「ととのう」は「整」ではなく「調」のイメージなのだそうです。果物や玄米を使ったパンを手に取ることで、「今日は少し自分を気にかけられた」と感じてもらえたら嬉しい、と話します。
シンプルな見た目とは違うカラフルな切り口に思わず「わぁ」と声がこぼれ、胸がふわりと満たされました。
持ち寄った才能で
ひとつの景色を描く
musubiを開業するきっかけになったのは、店主の定年退職。家族で店をやるのが長年の夢だったこともあって、個人事業を立ち上げることを思い立ったそうです。
お米をメインに選んだのは、親戚に農薬を使わずにお米を育てている農家の方がいたから。「お米を楽しむ」をコンセプトに米粉パンやクッキー、時にはおにぎりに、生産者の思いを乗せて届けることにしたのです。

ほんわか温かみのあるデザイン。
メッセージシールを添えて贈り物に
開店までは、家族や親戚がそれぞれの特技を生かしながら、みんなで作り上げていったそうです。 店内のカウンターも棚も入口のドアまでが、家族みんなで手作りしたものなのだとか。

そうやって開業に向けて奔走していた頃、店主の孫娘が「musubiきらい」と言ったことがあったそうです。その一言で、お店を開くことが第一になり過ぎていたと気づいたお姉さん。家族で話し合いの場をもつことになりました。
お姉さんはこの一件から、幸せな商品を作るには、まずはスタッフ側が幸せであることが大事だと気づいたそうです。それからというもの、スタッフ自身の心と体をととのえることにも気を配るようになりました。

横幅2m以上ある超大作です
お店の片隅には、開業時に余った壁紙で子どもたちが描いたという絵が飾られています。
「musubiだいすき」が伝わってくる笑顔のパンがたくさん描かれたイラスト。
この絵は、開業から時間が経っても当時のことを思い出させてくれるだけでなく、絵を見た人を和ませているmusubiのシンボルのような存在になっています。
種は芽を出し 実をつけた
開業のきっかけは、店主の定年退職と「家族で店をやりたい」という長年の思いでした。そこに家族や親戚が少しずつ関わり、大きな実を付けました。
musubiのパンは、手と心をかけて作られています。
田んぼの稲が日々の手入れの中で実るように、これからも「musubi」は、お客さんと地域に育まれながら、少しずつ日々を重ねていきます。
スポット情報
musubi
■住所:〒236-0053 神奈川県横浜市金沢区能見台通21-29
■電話番号:045-349-2311
■営業時間:9:00~17:00
■定休日:日曜日・月曜日、その他不定休
■アクセス:京急本線 「能見台駅」 徒歩5分
■Instagram:Instagram
取材日 2026/08/21
※本記事に掲載されている情報は取材当時のものです。最新の情報とは異なる場合がありますので、お出かけの際は事前にご確認ください。